夫・PUNPEEからもらったアドバイス
ユニークな現場エピソードも教えてくれた。
「敵である主人公から目をくらますために、身体中に枝を刺すカモフラージュをして茂みに潜むシーンを撮影したのですが、その撮影の待ち時間に監督が“もっと欲しい”と私に次々と枝を足していったんです。その姿をAKBの元メンバーに“今の私、こんなことになってる”と送りました。みんなからは“カナダまで行って何してるの?”と笑われましたね(笑)」
そんな秋元は6月20日、ラッパーのPUNPEEとの結婚を発表した。“芸は人なり”と言うが、この結婚が彼女の“役者”面や人格に、どんな影響を及ぼしたのか。
「端的に言えばまず、私はもう一人じゃないんだと感じましたね。私というより、夫の“妻”であるという見方をされますし、私に何かあったら、記事に夫の名前が出る可能性もある。演技に関しては、これまで妻役も演じてきたのですが、想像で演じてきたことが“こういうことなんだ”、“こういう気持ちになるんだ”と答え合わせの状況も何度かありました。
夫には感謝しています。夫はプロデュースの仕事もしているのですが、“そういう見え方はあまり格好良くないんじゃないかなぁ”などアドバイスもくれるんです。結婚、夫の存在、夫の言葉、これらが今後の私の間口を広げ、お芝居にも活かしていけたらいいですね」
結婚したことで直面した“悩み”もある。
「夫の姓になってしまうこと。私は本名で芸能活動をしていたこともあり、自分の姓に愛着がある。ですが芸名と本名が同じなので、“秋元才加”という名は生き続けるんです。でも日本は夫婦別姓の制度が整っていない。芸能人じゃない方で姓が変わることで悩む人も多いんじゃないでしょうか。
また姓が変わることでクレジットカードをはじめ、様々な手続きが必要になります。やはりこれも、ステレオタイプというか、昔ながらの面倒な風習ではありますよね……。私は決して、夫婦別姓に手放しで賛成しているわけではありません。夫の姓になりたい人、妻の姓になりたい人、いろんな方がいらっしゃいます。夫婦別姓もそうですが、世間の選択肢をもっと増やしたい。自由に選びやすい世の中になっていけたらと思いましたね」
ハリウッド進出、結婚と次々と新しいことを経験し、それを糧にして前に進む秋元才加。彼女は今後、どんな女優になっていくのか。まずは現在公開中の『山猫』で、彼女の現在地を確認してほしい。
(取材・文/衣輪晋一)