今は量産型の芸能人が増えた
●危機管理アドバイザー 窪田順生さん
「“危機管理”という概念が入ってから変わった」
危機管理の世界では、「雪印乳業集団食中毒事件」と「三菱自動車リコール隠し事件」が発覚した2000年がターニングポイントといわれ、日本の企業危機管理が見直される契機になりました。その影響もあって、芸能界にも危機管理意識が強く働くようになり、芸能人に社会人らしさを求める風潮が強まっていきました。
しかし、芸能界は一般企業とは違いますから、定型的な謝罪をさせるといった危機管理でうまくいくわけがない。芸能事務所は、タレントの個性をいかすような危機管理を心がけたほうがいいでしょう。
・PROFILE・
くぼた・まさき。危機管理・報道対策アドバイザー。ノンフィクションライター。数多くの広報コンサルティングや取材対応トレーニングを行う。
くぼた・まさき。危機管理・報道対策アドバイザー。ノンフィクションライター。数多くの広報コンサルティングや取材対応トレーニングを行う。
●関係者・石川敏男さん 名物芸能レポーターが斬る、記者会見はこう変わった 「今は替えがきく芸能人が多い。だから記者会見に個性がない!」
かつての記者会見は、芸能人とレポーターが会話をするように質疑応答が行われていた。しかし、今は一問一答じゃないけど質問ごとに仕切るから、本音や気持ちを引き出しづらい。これじゃ本心はわからないよね。
ひと昔前の芸能人は、替えがきかない人が多かった。例えば、丹波哲郎さんに愛人と隠し子騒動が浮上して、彼の自宅へ直撃したら、「なんで今ごろ聞きにくるんだよ? 地元の人間はとっくに知ってるよ」と言われた(笑)。
こういう人だから芸能人であり、丹波哲郎なんだな、と。今は、似たような決まりきった会見を開くよね。人気はあるかもしれないけど、その人に代わる人がたくさんいるーー、だから誰でもできる会見になるから、記憶に残りづらくて個性がない。量産型の芸能人が増えたってことだと思いますね。
・PROFILE・
いしかわ・としお。1946年生まれ。女性誌記者を経て、芸能レポーター歴32年。コメンテーターとしても活躍中
いしかわ・としお。1946年生まれ。女性誌記者を経て、芸能レポーター歴32年。コメンテーターとしても活躍中
(取材・文/我妻アヅ子、本誌編集部)