私益にならない努力も、就職に活かせ

 学生のうちから美人であることを利用され、搾取されているともいえる彼女たち。配信ライブの投げ銭もPR投稿も、個人的にインフルエンサーとして活動すれば私益にすることができるのに、ミスキャンとしての活動ではそれがひとつも自分の利益にならないようだ。

 なぜ彼女たちは、そうまでしてミスコンに出場するのか。就職セミナーを開講し、多くのミスキャンパスをアナウンサーとして送り出してきた霜田氏の見解はこうだ。

「やっぱりマスコミ就職を目指すために、という子は多いですね。高校のうちからアナウンサーの道を目指している子は青山・慶應などの花形ミスコン学校を集中的に受験する子もいます。

 ファイナリストになっていればエントリーシートの足切りにあいづらいですし、人前に出る場数を踏まされている分、面接の場でも舞台慣れが活かせます。

 あとは、自分のSNSについたフォロワー数を利用して、そのままインフルエンサーになっていく子はいたりします。本人たちにも努力したなりのスキルが身についていくという利点はあります」

 やはり青学や慶應など、ミスコン金字塔ともいえる大学に入学する子たちは、最初から芸能界を目指して入学しているパターンも多いという。青学が毎年レベルの高いミスコンを展開するのも、滝川クリステルや田中みな実などアナウンサー輩出校として有名であることは大きな理由のひとつと言えそうだ。

 しかし、その全員が本当にアナウンサーや芸能人になっていくわけではない。ミスキャンとなった彼女たちは、ミスコン終了後どうなっていくのか。

「そもそも“学生時代の思い出に”くらいの気持ちで参加する子は、人前に出て活動することの大変さを知って、ミスコン終了後は普通の女子大生に戻っていきます。活動を始める前は、こういった負の部分は知らずに活動し始めますから。

 でも結局、その努力は本人たちの努力ですし、ついたスキルも本人たちのスキルですから。就職セミナーをやっていても、全員をアナウンサーとして送り出せるわけではないですが、ミスキャンで培った自己プロデュースのスキルで、就活はしっかり成功させていきますよ。ミスキャン活動は大変だけど無駄なことではないな、ということを実感します」

 凡人の目から見て、美人は得でいいと映ることもある。しかし、好奇の目に晒されることで不当に被る不利益もあるし、美人だからって努力せずに未来を掴み取っていけるわけではない。大学ミスコンの中には、そんな「社会の縮図」がしっかり再現されていた。