いまだにマネージャーに怒られる夢を見る

 友人たちよりひと足先に社会に出た佳恵さん。『笑っていいとも!』などバラエティー番組は持ち前の瞬発力で乗り切れたが、慣れない演技は苦労した。特に大変だったのは初めての連続ドラマ『東京エレベーターガール』。収録を終えて帰る車の中でマネージャーにダメ出しを延々とされ、悔し涙を流した。

「現場で演出家に指示されたことができない。理解はしても表現する技術が伴ってないので、もどかしくて泣きました。私を早く形にしたいという叱咤激励なのはわかっていたけど、毎日ですからね。もう恐怖しかない。いまだにマネージャーに怒られる夢を見るくらい(笑)。

 それでもやめたいとは考えなかったですね。ひと晩寝たら忘れるんですよ、ハハハハハ。リセットする力は持っていると思います」

 息抜きは高校からずっと仲よしの4人組で遊ぶこと。

 高校卒業後は温泉など旅行にもよく行った。敦子さんによると、佳恵さんがサプライズで旅行前におそろいのTシャツを、帰宅後には全員分のアルバムを作ってプレゼントしてくれたことがあるそうだ。

27歳のときに結婚。東京・代官山でレストランウエディング。ブーケは妹・実穂さんの手作り
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【写真】自宅近くの湘南海岸で美良生君と微笑み合う奥山さん

 結婚したのは27歳のときだ。相手は6歳上のヘアメイクアップアーティストの稲葉功次郎さん(52)。佳恵さんの担当になって意気投合し、一緒に海に遊びに行くなど仲はよかったが、恋愛対象ではなかった。当時、稲葉さんはアメリカ在住で、日本に一時帰国していたからだ。

 関係が変わったのは、稲葉さんの唐突な告白だった。

「変な言い方ですけど、彼女は普通の人がたまたまポンとこの業界に入った感じで。すごくナチュラルだから一緒にいて楽だし、楽しかったんですよ。アメリカに帰るか、彼女とお付き合いをするか。すごく悩んだんです」

 横で聞いていた佳恵さんが突っ込みを入れる。

「まだ付き合ってもいないのに、ひとりで勝手に悩んで胃に穴をあけたんですよ(笑)。突然“君のことが好きだ!”と言われて、まさに青天の霹靂でした。でも、パズルの最後のピースがピタッとはまった感じで、あ、この人かと。お互いに自分らしくいれたのがよかったのかもね」

 事務所には「前例がない」と反対されたが押し通し、交際を始めて1年後の2001年秋に結婚。翌年6月に長男の空良君が生まれた。

 実家のある目黒区に新居を構え、ひとりで育児に奮闘する日々が始まった。