大学進学後は本格的な演技を学ぶために俳優養成所に入所。演劇と並行して、アマチュアバンドでの活動も開始し、この時点で、王子様キャラは完成していた。

「100人規模のライブハウスにバラをくわえて登場。そのバラを客席に投げるというパフォーマンスをしていたものの、最初の1年ほどはバラを受け取ってもらえない時期が続きました。それでも心折れずに続けたところ、レコード会社の人の目にとまり、デビューのチャンスをつかんだというからすごいですよね」(音楽ライター)

忌野清志郎さんの助言に背中を押される

 26歳のときに『モラリティー』で歌手デビュー。注目を集めるきっかけとなった’97年に出演した『マツモトキヨシ』のCMで演じたのも、お金持ちのキザ男役だった。

「日本テレビ系の『おしゃれイズム』に及川さんが出演した際、MCを務める藤木直人さんも同じオーディションを受けていたことを明かしていました。『マツキヨ』のCMが話題になり、音楽番組などに引っ張りだこになったものの、しばらくはイロモノっぽい扱われ方が続きましたね」(テレビ局関係者)

 タレントとしての方向性に悩んでいた及川の背中を押してくれたのが、デビュー間もないころにラジオで共演した故・忌野清志郎さんだった。

「どのように音楽業界やテレビ業界になじめばいいか……と清志郎さんに相談したところ“なじんでどうする? ずっと浮いてなさい”と言われ、そこから吹っ切れたんです」(前出・音楽ライター)

 ’02年には清志郎さんに曲のプロデュースを依頼したところから話が進み、ユニット『ミツキヨ』を結成。

「及川さんが詞を書いているときには“迷うな。迷うものはたいていダメなんだ”“直すとどんどん平均的になってつまらなくなる”といった、清志郎さんの言葉に刺激を受けたそうですよ」(前出・テレビ誌編集者)

『ミツキヨ』のビジュアルイメージは傾奇者をイメージしたという
『ミツキヨ』のビジュアルイメージは傾奇者をイメージしたという
【写真】私服姿も知的でスマート! 『グランメゾン東京』の打ち上げに参加する及川光博

 俳優としてのデビューは、’98年のフジテレビ系ドラマ『WITH LOVE』。

 もともと演劇をしていたこともあり、『ザテレビジョンドラマアカデミー賞』で新人賞を受賞するなど、俳優としてもすぐに頭角を現すことに。しかし、王子様キャラを彷彿させる似たような役ばかりがしばらく続いた。