バツイチで2人の子どもがいる
純子容疑者は群馬県太田市出身。淳さんとは再婚で、前夫との間に1男1女がいる。
「離婚して、いまの旦那さんとくっついてからも、自宅にちょくちょく前夫との間に生まれた子ども2人を呼んでいた。休日になると、群馬の実家にいまの親子3人でよく帰ることも。
やさしくて懐(ふところ)の広い旦那さんだろうけれど、新社長としてやらなければいけないことはたくさんあるだろうし。口には出さなくても不満はあったのではないか」
と純子容疑者の知人。
自宅近隣の複数の住民によると、夫婦ともお酒をたしなみ、新型コロナウイルスの感染防止のため“宅飲み”が増えていたようだという。
ただ、夫婦とも飲みすぎるタイプではなく、酔って豹変(ひょうへん)する姿も見せたことがない。自宅から夫婦で言い争う声が聞こえてきたこともなかった。
「よっぽどのことがない限り、あのおとなしい旦那さんが年上の奥さんに、つっかかるとは思えない」(近所の男性)
夫婦間にどのようなトラブルがあったのか。淳さんの実家を訪ねた。玄関先で応対してくれた淳さんの母親は、力が抜けきった様子だった。
――何か夫婦の間でトラブルはあったのでしょうか?
「何も知らないんです。わかりません」
――残されたお孫さんはどうされていますか?
「……」
――事件について知りたいことは何ですか?
「ありません。もう終わったことですから。そっとしておいてください」
最後はそう言って、少し言葉を詰まらせた。
なぜ、純子容疑者はやさしい夫に刃物を向けたのか。
関係者によると、工務店ではこの8月にベテラン事務員が退職し、純子容疑者の負担は増えていた。
子どもを保育園に送り迎えし、工務店で働きながら家事をこなす毎日だった。“よそ者”の社長夫人として周囲の目も気になったはずだ。
県警は、犯行に至る経緯や、以前から夫婦間トラブルがあったかどうかなど背景についても詳しく調べている。
池田さん一家と親しい関係者によると、淳さんの葬儀は9月24日、親族などごく近親者のみでしめやかに営まれた。遺影は穏やかな表情で、淳さんの母親は気丈に振る舞っているように見えたという。
葬祭場に男児の姿はなかった。残酷な事実を知るにはあまりにも幼すぎる――。