復帰の3つの要点「責任、初犯、歴史」

 宝泉氏は、「芸能人の不祥事からの復帰を考えるとき、3つのポイントがあると思います」と話す。

「ひとつが、その人が起こした不祥事と他者との比較。不倫騒動は最たる例ですね。もうひとつが、初めての不祥事なのか否か。そして、事務所の不祥事の歴史の中でどういった位置づけか」(宝泉氏)

 ともに薬物による逮捕で、世間を裏切る形となったピエール瀧と槇原敬之のケースがわかりやすい。まず比較という点で考えたとき、同じミュージシャンでも二者の社会的責任には大きく違いがあるという。

「槇原は、楽曲提供やタイアップも多かった。個人事業主ではあるものの、多くの利権を生み出している手前、社会的責任が極めて大きい立場。一方のピエール瀧は、そういった利権を生み出している人ではない」(宝泉氏)

 もちろん、ピエールもドラマや映画で活躍している手前、不祥事を起こせば迷惑はかかる。しかし、あくまでピエール瀧にとって俳優業は副業。多くの名曲を幅広い年代に提供してきた国民的ミュージシャンの槇原とはまるで毛色が違う。しかも、2点目に挙げた「初犯ではない」ことも向かい風となる。

「『世界に一つだけの花』は、道徳の教科書に掲載されるほどの名曲です。その作者が2度も逮捕されている(苦笑)。ピエール瀧のケースであれば、“作品に罪はない”と言えますが、槇原のケースは、そう簡単には言えないでしょう」(宝泉氏)

 逮捕以降、槇原はだんまりを決め込んでいるが多方面に迷惑がかかる以上、何も話せないというのが本音だろう。

 一方、ピエール瀧は相方である石野卓球とSNSを中心に露出度を増やしている。

好感度で食べてきた人ほど復帰しづらい

「才能と好感度の二項対立がある。好感度で食べてきた人ほど復帰しづらい」とは中川氏の言葉だ。

「ベッキーとのゲス不倫が騒がれた川谷絵音は騒動後、ものすごいバッシングにさらされましたが、どこ吹く風で活躍し続けている。好感度を気にしない立場の人は、復帰に関しても自己プロデュースが可能。紅白には出られなくなるかもしれないけど、売り上げ的にはまったく問題ないわけです。逆に、好感度を売りにしてきたベッキーは、いまなお視聴者の中にはアレルギー反応を示す人もいる」(中川氏)