優佳さんは結婚後に競技を引退していますが、それは家庭と競技のバランスに悩んだというより、純粋に夫のためのようです。
『女性自身』の「シリーズ人間」に登場した優佳さんは、《私のなかでは、自分がオリンピックに行きたいというより、大也の金メダルの挑戦をサポートしたいという気持ちが占めたんです》と話しています。それは夫への愛情かもしれませんし、同じアスリートだからこそ、夫の才能の大きさに気づいているからかもしれません。
日本は「女性が、自分を投げ捨てることが愛」と信じる人がいまだに多いので、夫のために競技を引退した優佳さんを「いい妻だ」と好意的な目で見る人もいるでしょう。しかし、これは優佳さんにとっては大きな賭けです。夫が勝てなければ、自分の人生の決断は「失敗した」ことになってしまうからです。そうなると、夫に「勝ってもらう」ことが、優佳さんの至上命令になりますから、パワーバランスは、夫>妻となります。
夫の大出世で「夫>妻」の関係性が固定化
幸い、瀬戸選手も優佳さんの献身に応えるかのように、2019年の世界選手権では200メートルと400メートルの男子個人メドレーで二冠を達成し、東京五輪代表に内定しました。前途有望なできる夫、献身的で美しい「いい妻」を企業が放っておくわけはなく、味の素のCMが決まります。
二人の頑張りと苦労が報われてよかったねと言いたいところですが、夫の大出世というのは、実は夫婦の危機になる可能性を秘めています。「自分がここまで来られたのは、キミのおかげだ」と夫が妻に素直に感謝できればいいのですが、売れた芸能人が糟糠の妻を捨てるケースが多くあるように、成功すると心が浮つく男性は多いもの。交友関係も派手になるでしょうし、「家庭を大事にする」といういいイメージの瀬戸選手に近寄ってくる女性もいて、浮気の可能性は高まるでしょう。大金が入ることも良し悪しで、妻が夫に遠慮して意見を言いにくくなることもあるかもしれません。「夫>妻」という関係性はますます固定化されていくのです。
このように、お金や夫の浮気のリスクなど、家庭内に不穏の種があるとしても、世間というものは物事の上っ面しか評価しませんから、「夫婦円満」とほめそやします。もしかすると、世間に「夫婦円満」と言われている時点で、そのカップルはヤバいのかもしれません。
スポンサーがつくと、妻も変わらざるを得ません。好むと好まざるとに関わらず、SNSを駆使して、自分のイメージを上げることが「お仕事」になります。はっきり言うと、アップした内容が本当であるかどうかは問題ではありません。いい家族、愛され妻だと人に印象づけることに意味があります。ただし、今回のように夫が不祥事を起こすと、「あんなに仲よしアピールしていたけど、不倫されてたね」と「いい妻」から一気に「ヤバい妻」に転落してしまうので注意が必要です。