広瀬すず中川大志阿部サダヲ……10月に入ってからもなお続く、有名芸能人の新型コロナ感染の発表。

「ニュースで発表されるたび、“え、この人も!?”という衝撃はもちろんあるのですが、“あぁ〜あ、かわいそうに”程度で、春先に比べると、恐怖感のようなものは薄くなってきていますね」」

 と言うのは、あるスポーツ紙記者。

 芸能界でいうと3月に森三中の黒沢かずこの感染が判明し、同月末には志村けんさんが亡くなった。翌月には宮藤官九郎の感染と、岡江久美子さんが亡くなった。緊急事態宣言と前後し、大物芸能人が亡くなったことで、コロナの脅威は大きく広がり人々を不安にさせた。

「感染=悪者」感がなくなってきた

「日本で流行する新型コロナウイルスは、途中で型が変異し、現在のものは春先に比べ、症状が軽くなったという見方があります。さらに有名人の感染発表を聞くたびに、コロナ感染への恐怖が麻痺し、志村さんや岡江さんが亡くなったときの衝撃も薄れはじめ、死への恐怖も薄れてきているのではないでしょうか」

 と、医療健康系メディアのライターは言う。また、有名人の感染の判明に関しては、仕事柄、症状がなくても検査する、という構造を指摘する。

「芸能人はドラマや映画の撮影開始にあたり、症状の有無にかかわらず関係者が一斉にPCR検査を行うため、広瀬すずさんように、自覚症状がなくても感染が判明する人がいます。6月に感染がわかった、巨人の坂本勇人選手も無自覚のままPCRで判明しています」

 相次ぐ有名人の感染により、濃厚接触者の把握や自宅待機などもあり、現場は撮影が遅れるため、その対応に困惑している。が、そこに“恐怖”はあまり感じてはないという。

「政府などの発表や、世の中の動きに合わせて仕事をしていますが、恐怖感みたいなものは徐々に薄まっている気がします。現場も自分たちで考えて積極的な対策をするよりも、局が決めたガイドラインに沿って収録しています。タレントが触ったものなどは、こまめに消毒し、やりすぎではというレベルの対策は続いていますよ。万が一、番組内で感染者が出ても、これだけ対策はしていた、と言えるようにしています」

 多くの人が関わるテレビ撮影などの現場は、万全な対策で挑んでいるが、感染は完全に防ぐことはできない。たとえ感染しても、クラスターが発生したという現場にいたなら経路は明確だが、そうでない限り感染ルートを追うことは不可能に近い。

「少し前まで、報道ステーションの富川悠太アナが感染したえときのように、感染者=悪者として見られていました。しかし今は、石田純一や山本圭壱、遠藤章造など、軽率な行動での感染でなければ叩くこともなくなり、ようやく“誰が感染しても仕方ない”という風向きに変わったと思います」(前出・スポーツ紙記者)

 とはいえ、人の命を奪う可能性もあるウイルス。ウィズコロナのもとでの新しい生活様式に馴染むことはいいけれど、決して軽視してはいけない。

〈取材・文/渋谷恭太郎〉