謝罪を口にした後に無罪を主張
裁判長に罪状認否を問われた際に、被告は、
「はじめに」
と言って、証言台でいきなり車イスから立ち上がり、
「今回の事故により、奥さまとお嬢さまを亡くされた松永さまご遺族に、心からお詫び申し上げます。最愛のおふたりを亡くされた悲しみ、ご心痛を思いますと、言葉がございません。また、おケガをされて苦しまれた方とご親族にも、深くお詫び申し上げます」
と初めて公の場で謝罪の言葉を口にし、頭を垂れた。
ところが、続けて次のように述べた。
「(起訴状で)検察官の言うアクセルペダルを踏み続けたことはありません。車になんらかの異常が生じたために、車が暴走してしまった」
と反論。被告の弁護人も、
「被告人に過失はない。過失運転致死傷は成立しない」
と無罪を主張したのだ。
うつむいたまま微動だにしない被告
こうした被告の主張が、冒頭の遺族感情を害したことは当然で、週刊女性は目を疑うような場面も目撃した──。
公判中、被告は終始、弁護人側の席で、視線を落として、うつむいていたまま。ほとんど動くこともなく、表情の変化もなかった。
それは、終盤で検察側が松永拓也さんの供述調書を読み上げているときのこと。
妻子の事故の報告を受けて駆けつけ、損傷がひどかった遺体と手をつなぎ、
「真菜に出会えて幸せだった。莉子を天国に連れていって」
と声をかけ続けていた心情を読み上げるところだった。
傍聴人までが目頭を押さえているときに、被告の首は、一段と下に傾いたまま。5~10分ほど、その状態を保ったまま、微動だにしなかったのだ……。
加害者として、聞くに耐えない内容で、涙を隠すように泣いていたのか。あるいは、睡魔に襲われていたのかもしれない。