写真が悪用されていることに気づいたら?
インターネット犯罪に詳しいジャーナリストの渋井哲也さんは、
「“ディープフェイクポルノ”は2017年、海外の有名女優のポルノ動画がネットに投稿されたことが発端とされています。政治家のイメージを損ねるために動画を加工したり、リベンジポルノとして一般人の偽わいせつ動画がネットに拡散される被害も。
日本では嫌がらせ目的でSNSを徘徊している人、可愛い子の画像を加工して金稼ぎをしている人、出会い系サイトなどのアイコンに使うために探している人、などがいます。発覚するのはまれでほとんどの被害者は自分が被害にあっていることに気づいていません」
自分や自分の大切な人の写真が悪用されていることに気づいたら、私たちはどうすればいいのか。
アディーレ法律事務所の正木裕美弁護士にポイントを聞いた。
「まずは問題の投稿・記事全体、URL全体、投稿年月日時分、印刷日時が表示されるように印刷、スクリーンショット、PDF化をしておく。
任意の削除に応じてもらえず裁判所での仮処分命令の申立てを行って削除を行う場合などに重要な証拠となります」
削除がされない場合はどうしたらいいの?
「サイトの運営者などに対する法的な削除請求が必要です。裁判所に投稿記事削除の仮処分命令の申し立てを行って、裁判所から仮処分命令をもらって、問題の記事の削除を求めていくことになります。通常はここで相手が削除に応じることが多いです」(正木弁護士、以下同)
拡散した第三者を罪に問うこともできるという。
「性的な画像だった場合、リツイート(転載)だけでも『わいせつ物領布等罪』(刑法175条1項、2年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金)、『18歳未満の場合、児童ポルノ禁止法違反』になる可能性があります。
また、名誉毀損に該当する悪質な投稿の場合、投稿をリツイートしただけでも名誉毀損罪に問われたり、損害賠償責任を負う可能性があります」
ただ、その画像を私的利用のために保存することを罪に問うのは難しいという。
「現状は難しいです。来年1月以降は、違法にアップロードされた写真だと知りながらダウンロードするのは、私的利用目的でも著作権法違反になる可能性がありますが、刑事罰がありません」(正木弁護士)
先日も元NHKアナウンサーの神田愛花が11日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ)でフェイクポルノ被害を告白。NHK時代に「本物かどうかは別として、これがある限り難しい」と大きな番組に出してもらえなかったという。
1度ついたイメージからなかなか脱却できないこの時代、本物か偽物かではなく使われてしまったらもうおしまいなのだ。