そしてもうひとり、忘れてはいけない大物がいる。ヒロインの母の少女時代を演じた有村架純(27)だ。『あまちゃん』ではヒロインの母も昔アイドルを目指した設定なので、彼女は昭和のアイドルを演じることとなった。
有村は当時、都内で行われた『あまちゃん』の取材で、
「私の顔つきは昭和のにおいを漂わせているみたいで、1980年代にぴったりだって言っていただくことが多くて」
と語っていたが、実際、これはハマり役だった。おかげで、この4年後にはやはり昭和を舞台としたNHK朝ドラ『ひよっこ』のヒロインに起用される。これもヒットしたことで、彼女は『NHK紅白歌合戦』の司会を2度務めるほどの国民的人気者となるわけだ。
現在は『姉ちゃんの恋人』(フジテレビ系)に主演中。今のところ『あまちゃん』でアイドルを演じた若手女優たちの出世頭といって間違いない。
とはいえ、あくまで「今のところ」だ。はたして10年先、50年先に彼女たちはそれぞれどんなポジションにいるのか。ここで触れなかった顔ぶれも含め、興味深く見守りたい。
PROFILE●宝泉 薫(ほうせん・かおる)●作家・芸能評論家。テレビ、映画、ダイエットなどをテーマに執筆。近著に『平成の死』(ベストセラーズ)、『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『あのアイドルがなぜヌードに』(文藝春秋)などがある。