ダディ でもね、やっぱり口を出したがるんですよ。1か月もたつと俺に命令してきて、それを拒否すると「ただ撮ってるだけでおもしろい番組ができると思ってんのか!」と怒りだすから、すぐに東京に帰らせました。
でも翌日には制作会社の社長が謝りに来てディレクターが代わる……という繰り返し。先方も途中から諦めて、われわれ家族のことを真剣に考えてくれるようになりましたね。
原田 僕もダディほどではないけど密着番組に出た経験があります。かなり独特な関係性が築かれますよね。
反省は舌打ちと同じようなもの
原田 実は、この対談のテーマは「反省」なんです。
ダディ えっ! いま初めて知りましたよ(笑)。
原田 そうなんです。つい、ビッグダディの話で盛り上がってしまいました。ダディは「反省」という言葉から何を思い浮かべますか?
ダディ 反省っていうのは、舌打ちひとつでゼロになるものですよね。俺は「ちぇっ」って言って終わりです。
原田 舌打ちひとつですか!
ダディ 今回ばかりは立ち直れないかもしれないっていう出来事も起きるんですけど、3年もたつと「あのときはさ〜」って大笑いなんですよ。その経験を何度かすると「何があっても今から笑っておこう」と思えるようになりましたね。3年先にはどうせ笑い話になりますから。
原田 達観されてますね。2014年には、ご自宅が火事に遭ったという報道がありましたが……。
ダディ あれはびっくりしました。俺の人生に“火事”が起きるとは!
原田 火事の原因は何だったんですか?
ダディ 明確な原因はわからないんですけど、消防と警察には「おそらく漏電だろう」と言われました。ただ、念のため元嫁の美奈子に電話をしてみると「私は火をつけてない」と言ってました。
原田(笑)
ダディ 全財産燃えましたからね。2時間くらい現場検証に立ち会ってヘトヘトでした。当時、一緒に暮らしていた息子たちと、駅の待合室で時間をつぶすことになって「トランプでもやろうぜ」と提案すると、次男坊が「よーし、今夜は燃えるぞ!」と言いだしたので、アタマをひっぱたきましたよ(笑)。
原田 本当にユニークなご家族ですね(笑)。
ダディ 火が消えたばかりの家の残骸を見ながら、冗談を言うような家族なんです。みんなそういう性格だから、本当に精神的に沈むことはなさそう。そもそも、何かに悩むことがないので。
原田 悩まない、というのは僕も同感です。悩んでも、どうにもならないんですよね。