『危険なビーナス』が絶好調だ。主人公・手島伯朗(妻夫木聡)を見下す矢神勇磨を演じているのは、ディーン・フジオカ(40)。「嫌な男だけど、カッコよすぎ!」「上から目線もヤバイ」「クールで聡明」「気品と色気がある」と、多くの女子の心をザワつかせている――。
“おディーンさん”と呼ばれ
手島伯朗(妻夫木聡)の前に突然、現れた楓(吉高由里子)は異父弟・矢神明人(染谷将太)の妻。夫亡きあと伯朗の母が嫁いだ“矢神家”の当主は危篤で、30億円もの遺産の相続権は明人にある。彼の失踪には親族が関わっていると楓は主張するが……。
「矢神勇磨はひと言でいうと、悪いやつだなって思います(笑)」
演じているディーンは愉快そうに笑う。勇磨は矢神家の養子で、レストランやカラオケ店などを経営する若手実業家だ。
「矢神家の遺産を欲する人間の1人で、自分の目的を達成するためには手段を選ばないようなキャラクターですね」
遺産をめぐり、伯朗&楓と次第に対峙していく……。
「(伯朗に)“負け犬”って言うセリフもありましたけど、現実世界でそんなこと言う人、います? 正直“この人、大丈夫かな”って思いますよね(笑)。普段、社会人として生きているうえで、言ったりやったりできないことを、勇磨役としてカメラの前でやると褒められる(笑)。“いい演技だったよ”って。最高ですよね。そこが悪役の魅力だと思います」
笑顔が素敵な優しい紳士。そんなディーンのイメージを翻すヒール役だが、本人はノリノリだ。
「ダークサイドにいても、粗暴でうっとうしいだけのやつにならないように(笑)。美学のようなものを貫いて。勇磨がなぜ威圧的な人間になったのか、だんだんアジェンダが見えたときに、すごく腑に落ちる結末になると思うんですね」
だからこそ、特に前半は大きな壁でいたいと語る。
「勇磨を見て“悪いやつだな〜”と思ったら、ぜひSNSに書き込んでください(笑)。そしたら、現場で“ほら、みんながこう言ってるからもっとやりましょう!”って、監督やプロデューサーをけしかけて、さらに羽目をはずすので(笑)。一緒に悪さをしましょう!」
主演の妻夫木とは“ブッキー”“ディーンくん”と呼び合う仲。
「同い年なんですよね。もちろんブッキーのほうがこの業界は長いし、自分はスタートがここ(日本)ではなかったという違いはありますけど。でも同じ時代に生まれたバックグラウンドがあり、話していてすごく近いものがあるなと思います」
どんな話をしているの?
「ブッキーも中華圏で仕事をしたことがあるから“あるある話”とか(笑)。日本だけで仕事をしているとわかり合えないことや、自分が見てきた景色と近いものを共有できるのはすごくうれしい。同じいちアジア人として、Japaneseとして、一緒に頑張っていけたらいいなと思っていますね」
週刊女性が妻夫木に取材した際には、“原作以上の長ゼリフで気の毒だ”と。
「アハハハハ。ディーンが愚痴ってたって言ってた?(笑) 正直、長ゼリフは得意……って言うとそういうのが増えたら嫌だから言わないけど(笑)、苦手ではないんです。台本10ページでも難なくやってきましたから」
楓役の吉高からは“おディーンさん”と呼ばれているとか。
「そんな感じ(笑)。みんなで明るく楽しくやってますね。由里ちゃんは、初日からすごく気さくに話しかけてくれて。お寿司屋さんの予約まで取ってもらっちゃって。お店に入って“あ、吉高です”って名乗ったのが妙でした(笑)。撮影が落ち着いたら、今度は自分が予約したお寿司屋さんに連れていきたいと思っています」