「翔平が龍馬でよかった」って

 ふたりが出会ったのは、'08年放送のドラマ『ごくせん』第3シリーズ。

 翔平のデビュー作でもあり、初めてのことで不安ばかりの撮影で支えになったのが春馬さんだった。それからはプライベートでも飲みに行ったり、サーフィンに出かけたりする仲に。親友だからこそ作り出すことのできた才助と龍馬の空気感が、スクリーンからも伝わってくる。

「龍馬を題材にしたいろんな作品を見ていたので、その役に引っ張られてしまわないかという不安もあったんですけど、春馬と一緒にやることによって自然と僕の思う龍馬像ができあがっていきました。やっぱり春馬だったから撮れたし、五代が春馬だから、あの龍馬ができたんですよね。春馬からも“翔平が龍馬でよかった”って、撮影後に言われたのがうれしかったな

 中盤、船の甲板でふたりだけで語り合うシーンがある。「もうすぐ日本の夜明けじゃ」と龍馬が声を上げ、才助とふたりで目を輝かせながら朝日を眺めるのだが、翔平自身も思い入れの深いシーンとして挙げる。

まさにあのシーンは、ふたりだけで何度も読み合わせをしたシーンなんです。本番直前はふたりともまったく話さなくて……。でもそれがすごく心地よくて。春馬も僕も気持ちが入っていて、監督から一発OKをいただきました。

 いろんなことがあって打ちのめされた才助の背中を押すために、龍馬が才助をわざと焚きつけることでまた才助のうぬぼれが戻って、日本を変えていこうってお互いの気持ちを確認し合う重要なシーンなんです。あのシーンはセリフも、ふたりの関係性もそうだし、僕の中で一生残るシーンです
 
 ただひとつ心残りなのが、完成した作品を春馬さんと見られなかったことだと話す。今、どんな気持ちで公開を迎えようとしているのか、悲しみをにじませながらも答えた。