不安でIQが下がっている人々
“コロナ”という言葉に必要以上におびえ、意味のない攻撃をしてしまう人は、どんな心理状態なのだろうか。精神科医でライフサポートクリニック院長の山下悠毅(ゆうき)さんによると、「人は不安な場面に遭遇すると前頭前野の血流が低下しIQ(知能指数)が下がってしまう」という。
「そして劣等感や被害者意識が強い人ほど些細(ささい)なことで不安を感じてしまうため短絡的・衝動的な行動をとってしまうのです。
彼らは、“ひょっとしたらこれは自分の勘違いかも”と考えることが苦手なため、自己本位な言動を繰り返してしまうのです。結果、多くの方と衝突を繰り返し、ますます劣等感や被害的な自意識を強めてしまうのです」
味蔵コロナ食堂に電話やSNS攻撃をしかけた人々には、このような心理が考えられるという。
「おもしろいものを見つけた、ということで、ほかの人より優位性をとり、不安を打ち消そうとしていたのでしょう。また、応援の電話をかけてきた方も実は同様の心理状態といえます。自分自身が不安だから、相手の立場を考えず、すぐに電話をしてしまった、と考えられます」
山下さんはこうも続ける。
「コロナ禍という、先が見えない状態は、誰にとっても自己本位な言動に陥りやすいものです。そこで何か感情を揺さぶる情報を目にした際には“まずは見守る”を習慣にしてほしいのです。不安によって一時的に下がった前頭前野の血流は、時間とともに必ず回復し、最良な言動をとることができるからです」
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「言葉という、形のない存在が人に与える影響力の怖さ、そして不安におびえると急激に思考力が低下してしまうという人間の愚かさが、あぶり出されているのが現在なんでしょう」と岩田さんは語る。まさに太陽コロナの炎にあぶりだされたかのように──。
「でも、それを克服してきたから今があるんだと思います。実際、世界中でその兆しは見えてきています。中国では“コロナ撲滅のために戦ってくれている医療関係者の方々を称えよう”という楽曲や番組が大量に作られていますし、世界中で“コロナ”を題材にした作品が次々と発表され始めています。
日本はまだ、マスク警察が幅をきかせている、同調圧力の強い国ですから、いささか出遅れている感がありますが……。私はこれからも世界中の“コロナ”を観察し続け、応援し続けたいですね」