『サタプラ』『ブランチ』の土曜を踏襲するか
そんな流れがあるだけに、『噂の!東京マガジン』の前に放送しているTBSの日曜朝から昼の番組にも、終了やテコ入れの噂が絶えない。『サンデーモーニング』は関口宏(77歳)や張本勲(80歳)を筆頭にコメンテーターも高齢者ぞろい。『サンデージャポン』はレギュラーコメンテーターのテリー伊藤(70歳)、デーブ・スペクター(年齢非公表だが推定60代中盤)ら、『アッコにおまかせ!』はMCの和田アキ子(70歳)、峰竜太(68歳)と、高齢層の視聴者が好む人選となっている。
ただTBS系列の番組でも、1日前の土曜朝から昼に目を向けるとムードが一変。今年3月で小堺一機(64歳)がMCを退き、丸山隆平(37歳)と小島瑠璃子(26歳)の2人体制になった『サタデープラス』(MBS制作)、佐藤栞里(30歳)がMCを務める『王様のブランチ』。どちらもファミリーコアにぴったりハマる情報番組であり、だからこそ日曜朝から昼も土曜にならった編成に切り換えても不思議ではないのだ。
もちろん放送する番組のすべてがファミリーコア重視でなければいけないのではなく、実際に「報道番組は例外とみなすべき」という声もある。しかし、「そもそも報道番組が無駄に多すぎる」「ゴールデン・プライムタイムまで報道番組はいらない」「これは今まで視聴率偏重だった弊害だ」などの厳しい指摘もあるだけに、報道番組だから安泰というわけではないだろう。
たとえば、常に時間帯トップの視聴率を叩き出している土曜夜の『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)も安泰とは言えない。中高年層向けのニュースが中心である上に、MCは高齢のビートたけし(73歳)。視聴率より視聴者層を重視する流れがあるだけに、安住紳一郎アナ(47歳)をさらに押し出す情報番組への移行も考えられる。
他局でも、高齢出演者や高齢視聴者層の問題で終了や移動が噂される番組は少なくない。スポンサーの中にも収入減に悩まされている企業があり、広告宣伝費の見直しによって民放各局の営業スタッフは、軒並み苦戦を強いられているという。
とりわけ高齢出演者と高齢視聴者層の番組は、「視聴率がよくても広告が取れないケースが増えた」という声をよく聞く。民放各局は営利事業である以上、収益の上がらない商品=番組をそのままにしておくことはできず、「大物MCや長年の功労者だから」という理由だけでは延命できなくなっているのだ。
「視聴率」でも「技術や実績」でもなく、「高齢」が理由で番組が終了してしまうという現実に寂しさを覚える人は少なくないだろう。ましてや日本はさらなる高齢化社会に突き進んでいる真っ最中。たとえば、「低予算で高齢出演者の負担が少ない番組形式にリニューアルしつつ、BSなどで放送を続ける」などの落としどころがあってもいいのかもしれない。
木村隆志(コラムニスト、テレビ解説者)
ウェブを中心に月30本前後のコラムを提供し、年間約1億PVを記録するほか、『週刊フジテレビ批評』などの番組にも出演。各番組に情報提供を行うほか、取材歴2000人超の著名人専門インタビュアーでもある。著書に「トップ・インタビュアーの「聴き技」84」「話しかけなくていい!会話術」など。