後にも先にもないモンスターグループ
楽曲アンケートこそ後期は影を潜めるが、彼らの人気はブレイク後、天井知らずとなる。ニホンモニターによる『2020タレントCM起用社数ランキング』によれば、1位(19社)の櫻井翔を皮切りに、2位(17社)相葉雅紀、3位(16社)松本潤、4位(14社)大野智、そして5位(13社)は二宮和也と、5人が上位を独占。
「今後、こんなモンスターグループは生まれるか?」と田幸さんに尋ねると、
「出てこないでしょう。アイドルグループ内で、誰がいちばん人気があるのかを競ったりすることが当たり前になる中で、嵐は常にフラットでした。リーダーこそ大野さんですが、お互いを尊重し、力関係がない。そういう安心感や横並び感が、時代性に合致したところがあると思います」
だからこその「活動休止」という選択だったのではと推測する。ジャニーズから退所するタレントが相次ぐ昨今、5人のいい関係性を壊さないためには、いったん、小休止するのが英断かもしれない。
「嵐の魅力を語るとき、“わちゃわちゃ感”という言葉がよく登場しますが、初期のころからただ可愛らしくわちゃわちゃしていただけなら、嵐は売れていなかったかもしれません。いろいろなことをして、その中でメンバーの魅力や個性が磨かれていったからこそ、5人の“わちゃわちゃ感”ができあがったんです」
また、ブレイクするまで時間がかかったこともあり、その中で得た経験も彼らの“力”になっているという。
「これだけ大きなグループになっても、活動休止までカウントダウンが迫っているのに、気負ったりせず、やっぱり今までのままだからすごい(笑)。そんな男性アイドルは、後にも先にも嵐だけだと思います」(田幸さん)
たこう・わかこ ドラマコラムの執筆や、ジャニーズウォッチャーとして活動。著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)など
(取材・文/我妻アヅ子)