年末が近づくにつれ、テレビでは長時間のバラエティー特番が多く放送されるようになってきた。今年はその中心にいるのが“お笑い第7世代”と呼ばれる芸人たちだ。

12月1日に『2020ユーキャン新語・流行語大賞』が発表されましたが、ノミネート30語にはぺこぱの『時を戻そう』、ぼる塾の『まぁねぇ〜』の2つがランクイン。第7世代の勢いが反映される結果となりました」(テレビ誌編集者)

お笑い第7世代の“本当の”評価

 お笑い第7世代とは“主に平成生まれで芸歴10年未満の芸人”を指す言葉として、霜降り明星・せいやのラジオでの発言から誕生した。

 '17年12月に開催された『女芸人No.1決定戦 THE W』でゆりやんレトリィバァ、'18年の『R-1ぐらんぷり』で濱田祐太郎、『キングオブコント』でハナコ、同年の『M-1グランプリ』で霜降り明星と、昨今のお笑い賞レースで20代のチャンピオンが続けて誕生。次世代芸人が台頭したこともあり、テレビ業界で一大ムーブメントとなっていた。

 しかし、バラエティー界では早くも第7世代離れが起き始めているという。

霜降り明星EXITハナコや四千頭身といった人気者たちのスケジュールはいまだに争奪戦状態です。ただ第7世代でも会議で名前が挙がるのは一部の人たちですし、第7世代括りの企画は減り始めていますね」(制作会社関係者)

 ブームが起きたのは芸人たちの実力ではなく、時代とマッチしたからでは? と指摘する声も。

「今年から視聴率の指標がこれまでの世帯視聴率から13〜49歳のコアターゲットに変わったことで、各局が若い世代にウケる番組づくりにシフトしました。さらに元号が令和に変わり、新しい時代を象徴する存在として“お笑い第7世代”という括りは使い勝手がよかったんです。

 でも年配のプロデューサーやディレクターの中には“面白さは自分にはわからないけど、今はこういうのがウケているんだろ?”と、とりあえず話題だから使っているというケースも多かったですね」(同・制作会社関係者)

 しかし、第7世代の芸人たちが人気番組を1周したことで、風向きが変わったようだ。

「彼らってよくも悪くもガツガツしていないんです。芸人的にはおいしくなりそうな企画でも“自分は裸NGなので”とか“こういう演出は無理です”と断ってくる。逆にその少し上の“第6.5世代”などはガッツもあり体当たり企画も厭わない芸人も多いため、再評価され始めているんですよ」(テレビ局関係者)

『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の企画『僕らビミョーな第6.5世代』に出演したジャングルポケットやかまいたち、パンサーや三四郎、さらば青春の光といった30代半ばから40代前半の芸人に脚光が浴びている理由を、エンタメに詳しいフリーライターの大塚ナギサさんはこう分析する。

「今、テレビで活躍している第6.5世代は『爆笑レッドカーペット』から人気になったショートネタブームではあまりハマっていなかった人たち。ブームで消費されることなく着実に実力をつけてきたからこそ、ネタはもちろんトークやロケなどをこなせる腕もある。スタッフも安心して起用できるのでしょう。まだキャリアの浅い第7世代と単純に実力を比較するのは酷な気もします」

 地力のあるメンバーの中でも昨今、評価が上がっている芸人とは?

企画会議のMC候補でかまいたちやチョコレートプラネットの名前が挙がる機会が増えてきましたね。2組ともYouTubeでも人気ですし、賞レースで結果を残すなど実力も申し分ありません。第7世代に比べると少し華がないので、実際の起用に至っていないケースも多いですが、どこかの局が使い始めれば一気にMC仕事も増えると思いますよ。

 逆に第7世代の芸人たちは必ずしも冠番組を持つことを目標にしておらず、テレビに固執していない印象を受けるので、テレビで天下を取る芸人はそう多くない気がします」(前出・テレビ局関係者)

 '21年のテレビ業界は、もしかしたら第6.5世代が席巻しているかも!?