狭い範囲のコミュニティーを信じる
高齢者の心理を突いた事例

 有名人の名前をかたった詐欺事件。ほかにも事例はあるのか、フラクタル法律事務所の田村勇人弁護士に聞いた。

「課金すればGACKTと直接メールできる、というサービスにだまされた人がいます。さらにお金を出せば実際に会えると言われて振り込んだものの、会えなかった」

 今回の事件については、

「大月さんの妹と偽ったのは高齢者だからネットですぐ調べない、狭い範囲のコミュニティーを信じてしまう心理を突いた事例だと思います」

 またこのような詐欺事件から被害を防ぐ方法について、ベリーベスト法律事務所の松井剛弁護士が解説する。

「投資目的でお金を預けるなら、事前に契約の書式や配当の仕組みを説明する資料を見せてほしいと伝えるべき。ひとり身の人は標的にされやすいので、支払う金額が多いときは立ち止まって、第三者に相談してください」

 今回の事件は知人の高齢者によるもので、いつ誰にだまされるかわからない。普段から警戒が必要だろう。

有名人を装った詐欺事件の事例

■時期:2013年7月
内容:前田敦子や松本潤などの芸能人を装い、会員から金をだまし取っていた出会い系サイト運営者が逮捕
被害:約136万円

■時期:2020年10月
内容:GACKTの名をかたったメール詐欺が横行しているとして、本人が注意喚起
被害:「お金を払えば本人に会える」と言って現金を振り込ませる

■時期:2020年10月
内容:人気バンド「DIR EN GREY」のメンバーになりすました男が身内から金をだまし取り逮捕
被害:約5300万円

■時期:2020年11月
内容:「ZOZOTOWN」前澤友作元社長になりすました偽のSNSアカウントが複数確認され、本人が注意喚起
被害:「お金を配る」と言って連絡し個人情報がだまし取られるおそれがあった