コロナに負けるわけにはいかない

 コロナが治ってもそれがゴールではなく、精神的に追い込まれていく人も多い。松村さん自身も退院した今、まわりの目を気にしてしまうことがあるそう。

──無事に退院されても、退院後はメンタルの面でやられてしまう方もいると聞きます。

「そうですね。病気の『病』のほうはお医者さんが治してくださいますけど、『気』のほうは患者が頑張らないといけない。僕もそうですけど、気持ちの部分は本人次第ですから」

──松村さんも退院後、腫れ物に触るような扱いをされたのですか?

「あからさまにされたわけではないですけど、しばらくは外を歩いてると石を投げられはしないかという、肩身が狭い思いはありました。近づくと怒られるような空気を出してる方もいらっしゃって。『頑張ってね』と言いながらそういう空気もあって、仕方がないことなんですけどね。退院した直後は、そういうふうに思ってました。

 でも、高田文夫先生のラジオに電話出演したときに、『(ものまねの)腕が落ちたんじゃないか?』って言って笑わせてくださって、その言葉に救われましたね

「高田文夫先生の言葉に救われましたね」(撮影/吉岡竜紀)
「高田文夫先生の言葉に救われましたね」(撮影/吉岡竜紀)
【すべての写真】インタビュー中の松村邦洋さんの表情

──気を遣われるよりも、気が楽になりますね。新型コロナウイルスに感染したからこそ、今、伝えたいことはありますか?

品川庄司の庄司くんもしばらく胸が痛かったっておっしゃってましたし、完治したから退院ではなくて、退院されてからも後遺症で苦しんでる方はたくさんいらっしゃいますので、そんなに甘い病気ではないということですよね。

 最低でも緊急事態宣言の期間だけは、不要不急の外出を自粛していただきたいと思います。もちろん、みなさんそれぞれの生活がありますけども、平和な時期が来るまでコロナに負けるわけにはいきませんので、今だけでも辛抱して頑張ってほしいです

──いまだに、「風邪に毛が生えたようなものだ」と言ってる人もいるようです。

「とんでもないです。それぞれ立場などあるでしょうけど、体調が悪いときは休みますっていう勇気が大事かもしれません。抵抗力が落ちると言いますか、僕も若いうちは徹夜しても全然平気だったんですけど、53歳となると若いときとは違うんだなというのは骨身に染みて感じました。

 人と会うっていいことですよね。ふれあいとか。鶴瓶さんも『負けたらあかんで』っておっしゃってました。『鶴瓶の家族に乾杯』のように、ホッとする番組が好きなんですけど、早くみんなが笑顔で人と接する事ができる世の中になるといいなと思ってます

(ここからは、新型コロナウイルス感染前にインタビューさせていただいたものです)