生活困難、DV被害は迷わず公的支援を

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 新型コロナウイルスの影響で多くの人が職を失ったり収入が激減しているにも関わらず、この1年間での国からの一律給付金は一人当たりたったの10万円のみ。10万円では、人ひとりが1か月生き延びることすらできない。

 行政は生活困窮者に「小口資金貸付制度」の利用を呼びかけているが、そもそも貸付に審査があり、「償還の見込みが困難と判断した場合は貸付ができない」としている時点で支援としての意味はほとんどなしていないと考えられる(コロナ禍の緊急小口資金貸付においては、厚生労働省HPに「今回の特例措置では、償還時において、なお所得の減少が続く住民税非課税世帯の償還を免除することができる取扱いとし、生活に困窮された方にきめ細かく配慮します」という記述があるが、貸付を受けられたとしても最大20万円までであり、これでは1ヵ月生活できるかどうかもわからない)。

 今、あなたが金銭的に困窮している場合は、遠慮なく自治体へ生活保護の申請相談をしてほしい。

 もしも窓口で追い返されたり申請の書類すら提出できないような対応をされれば、それは水際作戦と呼ばれる【違法】な対応であるため、その旨を伝えるか、福祉活動を行っているNPO法人などに連絡して付き添ってもらうと非常に効果的だ。

 他にも、もしも家庭でDVなど暴力を受けている場合は、近くの福祉課や「男女共同参画センター」に連絡すれば公立のシェルターで保護を受けたり、弁護士から裁判所に申し立てを行ってもらい、接近禁止命令を出してもらったりすることができる。

 どれだけ困窮状態にあっても、「自分が公的な支援を受けるなんて……」と考えてしまう人は非常に多い。しかし生活する上での困りごとは、大抵が個人の力では解決が難しいものがほとんどだ。

 日本で生活している以上、誰もが公的な支援を受ける権利を当然に有している。「自分たちだけで困難に耐えなくてはならない」と思わずに、ぜひ積極的に公的な支援を受けながら、ケースワーカーやソーシャルワーカーに手助けしてもらって「生活を立て直すこと」を第一に優先してほしいと思う。

吉川ばんび(よしかわ・ばんび)
 '91年、兵庫県神戸市生まれ。自らの体験をもとに、貧困、格差問題、児童福祉やブラック企業など、数多くの社会問題について取材、執筆を行う。『文春オンライン』『東洋経済オンライン』『日刊SPA!』などでコラムも連載中。初の著者『年収100万円で生きる ー格差都市・東京の肉声ー』(扶桑社新書)が話題。