女芸人の難しさとビジュアルの武器
そもそも、女性のお笑いは難しいと思われがちだ。しゃべりだけならまだしも、身体を張った芸だと体力差を否めないし、恥ずかしさを脱ぎ捨てるのも男性ほどは得意でないからだ。
これには幼少期からの経験も影響しているのだろう。男の子の場合、面白いことで人気者になれたり「モテ」につながったりするが、女の子の場合はなかなかそうはいかない。それゆえ、面白さで勝負し続けることに、男芸人は慣れているが、女芸人は慣れていないのである。
そこで、途中からキャラ変して、人気やモテに直結しそうな「キレイ」に向かいやすいという傾向がある。実際、痩せれば話題になったりもするわけだが、女優やモデルではないため、一時的な話題で終わりやすい。
ちなみに、男芸人にもダイエットする人はいる。古くは片岡鶴太郎や恵俊彰が痩せてキャラ変をした。ただ、鶴太郎はもともと役者志望だったし、恵は相方・石塚英彦とのビジュアル的なメリハリをつける意味でプラスに働いた。
こうしたケースのほうが少数で、今も昔も、ぽっちゃり体型はお笑いにおける大きな武器なのだ。
いや、お笑いだけとは限らない。日本テレビの安村直樹アナは30キロ以上痩せたが、すっきりしてイケメンになったという声とともに、心配する声もあがった。また、親しみやすさがうすれたと残念がる人もいる。デブキャラの芸人が多いのも、ぽっちゃり体型が安心して笑えることにつながるからだろう。
女芸人たちでいま最も勢いのある3時のヒロインとぼる塾を見ても、そのあたりは一目瞭然だ。前者は3人組、後者はひとりが育休のため3人で活動中。あわせて7人中4人がぽっちゃり体型ということで、どちらの笑いも「デブキャラ」がいないと成立しない。それだけ、太っていることで笑わせられることは貴重な才能でもあるわけだ。
「VOGUE GIRL」のインタビューで「新たな目標」を聞かれたゆりやんは、
「『いつでも脱げる身体になる』ということですね。(略)『あ、ちょっと私は…』って尻込みするんやなくて『いいですよ~』って言って、さっと脱いでさっと何でもできるような」
と返答。体型変化についての反応については、こんな話をしている。
「ただネットとかで『これ以上痩せたら、ネタどうすんの?』って言われることはあって。もちろん太っているからこそできるネタはあるけど、別に意識して作っているわけではないし、そういう意見は気にしなくていいかと思ってます」
たしかに、本業も順調なようで、今年の『R-1グランプリ』(フジテレビ系)では通算5回目の決勝進出が決定。3月7日に行なわれる決勝の模様は、生中継される。
過去最高成績が準優勝ということから「今年こそ絶対に優勝します」と宣言したゆりやん。はたして、どんな笑いを見せてくれるだろうか。