「私自身もこのドラマをやらせていただくことによって、現地はどうなっているか、現地の方はどのように感じているかを知り、驚いたことや苦しくなったことがいっぱいありました」
忘れちゃいけない、忘れなきゃいけない
東日本大震災から10年。スペシャルドラマ『あなたのそばで明日が笑う』が3月6日、放送される。舞台は宮城県石巻市。あの日、津波で行方不明になった夫・高臣(高良健吾)を復興住宅で待ち続けている蒼(綾瀬はるか)は今でも毎朝、夫の朝食を用意し続けている……。
「“忘れちゃいけない”“忘れなきゃいけない”“前を向かないといけない”という固定概念の中で、自分が思ってしまう素直な気持ち。蒼のように震災で大切な人をなくした経験とは全然違うけど、“これでいいんだ”と思えるまでに時間がかかってしまうところは、似ているなと思いますね。私自身も結構ぐるぐる考えちゃうタイプなので」
夫の愛していた書店の再開を決意し、建築士・瑛希(池松壮亮)とやりとりを重ねる中で、蒼は再び微笑みを取り戻していく。
「大事な人を失ったという現実。それを受け入れる中でも、忘れようとするんじゃなくて、悲しみさえも自分の中に取り込んで、そこからまた前に進む力に変えていく。たぶん、人それぞれいろんな悩みや苦しみがあると思うけど、たとえ時間がかかっても、受け入れながら前に進むことで、明日につながっていく。そんな前向きな作品です。そして、“そうやって前を向いて頑張っている人たちがいるんだな”と、震災被害にあわれた方々に少し寄り添ってもらえたらいいなと思いますね」