人気2.5次元俳優の心に潜む“欲”は承認欲求

(ビジュアルを近づけず)喪黒福造に見えないほうが面白いんじゃないかと思っています。そうじゃないと、僕をキャスティングしてくださった意味がないというか。(外見が)まったく違うものを喪黒にみせる説得力の部分が役者の仕事だと思っているので

 当初、昨年4月の上演を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大を受け延期に。ついに3月26日に幕を開ける舞台『「笑ゥせぇるすまん」THESTAGE』。“ココロのスキマ、お埋めします”と書かれた名刺を差し出す、ずんぐりむっくりな謎のセールスマン・喪黒福造を演じるのが佐藤流司(26)。2・5次元舞台を牽引するトップスターである彼が、黒いハットに黒のスーツ、不気味な笑顔を浮かべる喪黒に成り代わる。

「タイトルや喪黒福造という名前を聞いたことはあったんですが、舞台への出演が決まって、初めて原作のマンガを読みました。子どものときに手に取っていたら怖かっただろうなと思います(笑)。大人になったいま読むと、いろいろと考えさせられることがありますね」

●極論を言えば、別世界の人間になりたい

 喪黒福造が悩みや欲望を抱える大人に近づいていき、願いを叶えてあげるかわりに約束をする。その約束を破ってしまったとき……。原作同様、舞台でも人間の“欲”を描いていく。佐藤自身にあるいちばんの欲を聞くと、

人並みか、それ以上に承認欲求がある人間だと自分では思っています。認められたいとか、よく見られたいとか、そういう欲が多いですね。それが、俳優という仕事の原動力でもありますが。自分がどうしたいかも大事ですが、それ以上に人にどう見られたいかを考えてしまう。極論を言えば“神”のような(笑)、別世界、別次元の人間だと思わせたいという思いがあります

 すでに舞台や会場を圧倒するカリスマオーラを纏っていると思うが、

「いやいや(笑)。いま現在、目指すところに近づいているかは……」