「斉藤由貴」という独自の立ち位置
「彼女の所属事務所・東宝芸能は、沢口靖子や長澤まさみ、最近だと上白石萌音という、人気女優を途切れることなく輩出しています。その中でもスキャンダルが多く、いちばんの問題児が斉藤由貴だけど、女優として育てていくのがうまいんですよね」
ほかの所属女優とは違う、女優としての“立ち位置”を用意してきたのではないか、とこう続ける。
「初めのうちは主演作もありますけど、結婚してからはバイプレーヤーとしての魅力が出ていると思いませんか? ちょっと色気があったり、ワケありだったり。悪女まではいかないけれど、めんどくさそうなやっかいな女という役では、すごくしっくりくるんですよね。これは彼女独特の立ち位置だと思います」
ただの美人女優ではない、いろいろな役を演じることにより今に至っていると吉田さんは分析する。
「三谷幸喜監督の映画『記憶にございません!』では、ちょっと癖のある料理人、宮藤官九郎のドラマ『吾輩は主婦である』(TBS系)では、妄想癖のある主婦──。派手に目立ったりはしないけれど、彼女ならではの役を演じていますね」
女優として独自の道を進む斉藤。プライベートでは不倫を繰り返すなど、自由奔放な生き方をしてきた。この生き方は女性の目にはどう映るのか?
「インタビューの受け答えや、雰囲気を見ていると“不思議ちゃん”。これは私の主観ですが、男性をたぶらかすというより、彼女は自分自身がいちばん好きなんじゃないかな、って。自分自身がこんなに好きな“斉藤由貴”を男性が求めるのは当たり前でしょ、と(笑)」
とはいえ、嫌いな人は本当に嫌いなんだろうと吉田さん。だが、最近の若い人は斉藤が“魔性の女”と呼ばれていることを知らないと思うと話し、
「尾崎豊を知らないという人も増えてますから。彼女自身も20世紀の“やんちゃ時代”は、なかったことにするくらいの潔さでいるんじゃないかな」