ジャニーズ事務所の設立以来の目標は、オリジナルミュージカルの確立である。そうしたこともあり、少年隊や堂本光一の名前を思い出すまでもなく、ジャニーズにおいては“王子様系”アイドルが伝統的に主流になっている面がある。最近で言えば、Sexy ZoneやKing & Princeなどもこの系譜だろう。
また、「不良」の表現のしかたも、時代とともに難しくなった。1980年代のツッパリは、リーゼントにサングラス、長ランなど髪型やファッションを見れば一目でわかるものだった。ドラマでヒットした『今日から俺は!!』(日本テレビ系、2018年年放送)はそんな懐かしいツッパリ文化の復活を思わせるが、コメディタッチの描きかただ。その点、亀梨和也や赤西仁が出演した『ごくせん』のように、不良のカッコよさをストレートに表現するものとも違っている。
こうしたジャニーズの歴史、そして時代の変化があり、いずれにしてもいまや“不良系”アイドルの生きる道は簡単ではない。
“不良系”の誇りが選ばせた「充電期間」
KAT-TUNのこれまでの道のりにも、そんな“不良系”アイドルの難しさを物語るようにかなりの紆余曲折があった。
デビュー後もオリコン週間チャート1位の記録を続けるなど順調に見えた彼らだが、2010年には赤西仁、2013年には田中聖、そして2016年には田口淳之介と、メンバーの脱退が相次いだ。6人だったオリジナルメンバーは、亀梨和也、上田竜也、中丸雄一の3人となった。
脱退した3人は、それぞれの道を歩んでいる。赤西仁は、ソロでの音楽活動がメイン。海外進出にも積極的で、最近は同じくジャニーズ事務所を退所した錦戸亮とのユニット活動もスタートさせた。
田中聖と田口淳之介はグループ脱退後、大麻取締法違反の疑いで逮捕された(田中聖は不起訴処分、田口淳之介は有罪判決)。現在は2人とも基本は音楽活動だが、ともにユーチューバーデビューするなど活動の幅を広げようとしている。
なお、昨年デビューしたSixTONES(ジャニーズ事務所)の田中樹は田中聖の実弟である。