無自覚に抱えてしまう「ココロの借金」
自分で作った借金は自分で返すのが原則なのと同様に、元カレや親、友達など、今のパートナーに出会う前にできた心の傷は、自分でどうにか折り合いをつけるしかありません。パートナーと安定した関係を築くことで、いつのまにかその傷が癒えるという可能性はあります。しかし、最初から、「私の心の傷は、あなたが癒して当然」というスタンスを取ることは、「私があなたに出会う前に作った借金、あなたが返してよね」と言うくらい、相手にとっては理不尽かつ意味不明なことなのです。
誰でも心に傷はあるものですし、その傷が他人への理解や優しさに変化することもありますから、傷は一概に悪いものとは言いきれません。しかし、自分が傷ついていることに無自覚だと、自覚なくパートナーに過大な要求をしてしまう。これを私は「ココロの借金」と呼んでいます。
パートナーにしてみると、「ココロの借金」は自分に返済義務はありませんから、「ココロの借金」を押しつければ押しつけるほど、二人の関係はうまくいかなくなるでしょう。しかし、本人は「ココロの借金」を押しつけている自覚がないので「またわかってもらえなかった」「また浮気された」と不安が強くなる悪循環に陥ってしまうのです。
もう1つ、不安が強い人の特徴として、「他人を責める」ことが挙げられます。「ウソの不安」に翻弄されている人ほど、不安をおそれます。なので、不安にならないために「この人が悪い」という明確な“犯人”を作りあげ、その人を責めたり排除することで、“安心”を得たいのだと思いますが、自分の信用が低下してしまうというデメリットも生じます。
キンタロー。がなぜ不安になるのかは、過去の出来事をさかのぼる必要がありそうですが、女性が不安になりやすいのは、身体の構造上の問題でもあります。「幸せホルモン」とも言われるセロトニンは、精神を安定させる働きがありますが、このセロトニンの働きを整え、不安や焦燥感を抑えるのはエストロゲンという女性ホルモンです。しかし、女性ホルモンは刻々と変化するので、当然、エストロゲン量も変化します。自分の女性ホルモンの周期をチェックして「今は不安になりやすい時期なんだ」と割り切ることも必要かもしれません。
不安が強い人は医師や専門家に相談するのをおすすめしますが、実は誰にでもできて、医学的効果もあるとされている不安対策もあります。上述したとおり、「幸せホルモン」とも言われるセロトニンが少ないと、不安になってしまうのですが、セロトニンの分泌を促すためには、リズム運動がいいとされています。キンタロー。と言えば、社交ダンスの名手ですから、不安になったら、マンボやジルバなどを踊りまくればいいのです。
先のことを考えたら、誰だって不安要素はたくさんあるでしょう。キンタロー。も不安を探すより、今確実にここにある幸せを意識してほしいと思います。
<プロフィール>
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」