父親の見栄のために東大に行かされたのかも
容疑者の本音はどこにあるのだろうか──。その疑問に、冒頭に登場した容疑者と親交のある天野さんが答えた。
「彼は父親への復讐のために問題を起こしていると、私は思っています」
今回の逮捕後、容疑者に面会して、身元引受人になった天野さん。容疑者と天野さんを結びつけたのも、やはり「マスク」だった。
昨年5月、天野さんの中学生になる息子がひとりで家電量販店を訪れた際、“マスクをしていない”と入店を拒否された。そして、店員から3枚990円ものマスクを売りつけられたという。これに天野さんは激怒し、
「マスク未着用で入店できないのは仕方ない。でも1枚だけ売るならまだしも、3枚入りのこんな高額なマスクを子どもに売りつけるのはやりすぎ。警察を呼んで恐喝だと話したところ、返金してもらいました」(天野さん、以下同)
この事件はネットニュースにもなり、それを見た容疑者は天野さんに強く共感。茨城・取手に住んでいた容疑者が、わざわざ東京まで足を運んで来店したのだ。
なぜトラブルを繰り返すことが父親への復讐になるのだろうか──。
「世間体ばかりを気にして生きてきた父親を困らせたいんだと思います」
例えば容疑者の東大卒という肩書。他人からすれば、素晴らしい経歴に思えるが、
「彼は本当に東大へ行きたかったんでしょうか……。父親の見栄のために行かされたのかもしれないとも思えてしまって。彼と話して、私はそう感じました」
一方で、これまで父親からの金銭的な支援にすがりながら生きてきた容疑者。今さら復讐と言い出しても、筋が通らないように思えるが、
「確かに単なるボンボンのたわ言かもしれません。親への復讐のために赤の他人を巻き込むなんて、私も理解できません。それでも、彼にチャンスを与えてあげたい」
天野さんは続ける。
「今後、私が彼にマスクをつけさせます。シャバへ戻ったら、うちの店で彼を働かせる約束もしてきました」