恋愛や結婚、仕事と人生を天秤に……
石川さんは、「特に女性グループにとって恋愛や結婚は、芸能活動を続けていくうえでどうしてもハードルになってしまう」と話す。
「先述したキャンディーズもそうだけど、'99年に解散したSPEEDもそう。解散理由に“自分の時間が欲しかった”ことを挙げ、島袋は解散発表記者会見で恋人の存在を認めている。仕事とプライベートを天秤にかけたとき、グループである以上、解散という選択肢は現実的」(石川さん)
そのうえで、彼女たちが所属していたライジングプロダクション・平哲夫社長のような理解者に巡り合えるかも重要と続ける。
「心情をくみ取らないで、別れさせるケースもある。それって不幸なことだよね。彼女たちの新しいスタートを応援したい、お世話になった事務所に最後まで貢献したい─。お互いに理解があるからこそ、メリットをもたらすためにあらかじめ解散を宣言し、大々的に解散興行を展開する。これは昔も今も変わりません」
そういう意味では、モーニング娘。の卒業と新メンバー加入を繰り返すシステムは画期的だとし、こう続ける。
「本当は恋愛や結婚をしようが、そのまま活動できればいいんだろうけど、芸能活動は特殊ですからね」(石川さん)
冒頭で触れたV6解散は、俳優業を主に、これまでできなかったことに挑戦したいという森田剛の意志があったからこそ。その背景には、妻である宮沢りえの後押しがあったともいわれる。結婚をすると、アイドルグループは岐路に立たされる運命にある。
だが、錦織と植草が事務所を退所したにもかかわらずグループ名を残している少年隊や、トラブルが相次いだKAT-TUNのように、解散を選択しないケースもある。田幸さんに尋ねると──。
「KAT-TUNは、歌もダンスもパフォーマンス的な中心は赤西さんでしたが、“魂”の部分は亀梨さん。少年隊はもちろん、今やジャニーズの“魂”を担っている存在が東山さんです。
その“魂”がどう判断するかだと思います。V6は、デビュー当時から圧倒的に森田さんのグループでした。彼が“魂”の部分でもあったからこそ、脱退ではなく、彼らは解散を選んだんだなって。それを尊重できるV6の解散は、新しいジャニーズの歴史を作ったと思います」
グループそれぞれの“解散事情”。本人たち、事務所、ファン、すべてが納得して別れる方法はあるのだろうか──。
たこう・わかこ……ドラマコラムの執筆や、ジャニーズウォッチャーとして活動。著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)など
(取材・文/我妻アヅ子)