「月9」らしさが求められている

 そして、月9にはやはり華やかさが必要と付け加える。

「『極悪がんぼ』は意欲作だったと思うけど、世間の月9に対するイメージとかけ離れすぎ。“あえて”はわかるけど、ドラマを見ている人の多くが昔からのドラマファン。月9らしさは大事だと思う。かといって、スターを使い回すと福山さんの『ラヴソング』のように、年齢差が25歳以上あるけど大丈夫?ってなる(笑)」(かなつさん)

意欲作だったが、視聴率に伸び悩んだ『極悪がんぼ』
意欲作だったが、視聴率に伸び悩んだ『極悪がんぼ』
【写真】何が原因だったの? 低視聴率ワーストランキング&高視聴率ランキング

「この人だったら見たい」と思わせるような新しいスターが登場しないことも月9低迷の一因になっているとも。さらに、ウッチャリーノさんは、

そもそもテレビを見る人が減ったことも大きいと思う。テレビの前にじっとしていなくてもスマホから気軽にアクセスできる時代に、ドラマ1話分を集中して見るって、今の時代は難しい。でも、コロナでイエナカ時間が増えているから、家で楽しめる月9を新たに作るチャンスでもあると思うわ

 かつての月9といえば、ラブストーリーが定石。しかし、『好きな人がいること』が惨敗したように恋愛ドラマ自体が求められていないところもある。だからなのか、ここ近年は、医者、刑事、弁護士など職業ドラマが中心になった。

「かつての月9は、視聴者層がはっきりしていたからか、刺さるセリフが多かった。私もマンガを描く際に、セリフにはこだわるのですが、言葉に力があるドラマは面白い。『半沢直樹』も『鬼滅の刃』もセリフがいいから面白い。

 月9からは、たくさん名言が生まれたじゃないですか。言葉に力がある月9に戻れば、また視聴者も戻ってくる……と思いたい!」(かなつさん)

答えてくれたのは……

●かなつ久美さん●1990年、角川書店から漫画家デビュー。趣味は美容と保護犬ボランティア。LINE漫画で『OLヴィジュアル系』、kindleで『緋色』ほか、好評配信中♪ 最新刊は『もしボクにしっぽがなかったら』(みなみ出版刊 1500円+税)。

●パッツィ・ウッチャリーノさん●ドラマだけでなく、大相撲、深夜ラジオ、音楽、塩顔男子をこよなく愛する女装ウエイトレス。