奥歯がきっかけで要介護の一歩手前に
「フレイル」という言葉をご存じでしょうか。これは、健康な状態から要介護へ移行する中間の段階を意味します。
フレイルを放っておくと、やがて介護が必要な状態になり、認知症や寝たきりになるリスクが高まります。それを防ぐための「フレイル予防の三本柱」を紹介しましょう。
(1)定期的な運動
(2)十分な栄養摂取
(3)活発な社会参加
このうち(2)の「十分な栄養摂取」に、歯の有無や歯の健康が深く関わってきます。
「口の機能が低下することを『オーラルフレイル』といいます。自分や家族がオーラルフレイルになっているかは、記事内の写真ページにある「オーラルフレイルのセルフチェック表」で確認できます。もし3点以上なら、専門の歯科医で診察を受けるなどの対応が必要です」
オーラルフレイルで最初に起こる重大事は、たいていの場合、「奥歯の欠損」。
「オーラルフレイルの人は、そうでない人に比べて、2・4倍もフレイルになりやすいことがわかっています」
つまりフレイルになるきっかけも、奥歯にあるのです。
奥歯を失う原因の第1位は
お伝えしたとおり、奥歯を失う最大の原因は歯周病。
「歯周病は、歯ぐきが腫れる『歯肉炎』から始まり、進行すると歯ぐきから膿が出て、歯を支える歯槽骨が溶け出し、最後は歯がグラついて抜けてしまいます。歯周病の直接の原因は、歯の表面に付着した歯垢(プラーク)です。歯肉炎の段階なら、きちんとブラッシングすれば、元の健康な歯ぐきに戻ります」
歯槽骨が溶け始めると、ブラッシングで元の状態に戻すのは困難に。これが奥歯を失わせる歯周病の怖さです。
「間接的には、喫煙や精神的ストレスによる歯ぎしり、歯並びの悪さ、噛み合わせ不良なども、歯周病のリスクを高める要因になります」
歯周病は気づかないうちに進行するため、初期段階では自覚症状がほとんどないケースも。まずは写真ページ内の「歯周病セルフチェック」を試してみてください。
点数の合計が30点以上なら、「歯周病のリスクあり」です。30代の日本人の約8割に歯周病の症状が見られるとの調査結果もあるので、30点以上であれば、すでに歯周病になっていると考えて、早急な対策をすすめます。