【75歳】要介護認定者となり介護施設へ入所も
65歳から74歳までの前期高齢者のうち、要介護を申請する割合はわずか4・3%。けれども75歳以上の後期高齢者になると、実に3人に1人が要介護認定者に。
「1つのがんを治療したら他のがんが発症したり、認知症や心不全といった別の病気を近づけてしまったり……。もぐらたたきのように病気が続くことも多いのです」
後期高齢者となり、医療費が2割から1割負担に減っても、全体の医療費が高くなることは十分にありえる。
「個人が一生涯でかかる医療費は平均して2724万円。そのうちの半分は70歳以上になってからのものです。実際には保険があるので、自己負担として約200万円ほどはかかると考えてよいでしょう」
さらに介護費用も大きな負担に。平均的な家庭で自宅介護を5年間するだけで、約500万円が必要といわれる。面倒をみてくれる子どもがいなければ、民間施設に入る必要が出てくるので、さらに1000万円かかることも。
「とはいえ高齢者の約10%は、亡くなる間際まで元気な状態で過ごしています。多少の病気は抱えつつ、健康寿命を延ばす生き方を目指したいものです」
●横手'sアドバイス『フレイルにならない生活を心がけて』
フレイルとは、身体機能や認知機能の低下が見られるものの、要介護にまでは至らない状態のこと。医療費と介護費を抑えることは、余裕のある老後を送るためのキーポイントですからフレイルにならない生活を心がけるのが何より大切。タンパク質などの栄養をしっかりとり、筋肉を鍛え、質のよい睡眠をとるようにしてみて。今から生活習慣を見直し、介護予備軍となるフレイルを少しでも遅らせるようにしましょう。
【80歳】1度だまされると何度でもやられる!
令和元年の詐欺による被害総額は約316億円。10年前と比べて約3倍にも増加。
「被害者のうち60歳以上が約88%で、このうち3人に2人が女性です。80歳になると判断能力が低下。さらに目や耳も機能が衰えてきますから」
さらに、1度だまされたら複数回だまされる可能性が。
「例えば“送りつけ商法”。ある日突然、注文をしていないものが送られてきて、不当な金額の請求書が入っている。うっかり代金を振り込むと、次々と詐欺商品が送られてきます」。私はだまされない、という人ほどご注意を。
●横手'sアドバイス『家族に資金管理を依頼して徹底ガードを』
不審な着信は、家族や友人に相談を。また自動通話録音機を使うのも手。自治体によっては高齢者に無料で貸し出しをしています。また、信頼できる子どもに資金管理をお願いしておけば、振り込むことができません。
【82歳】銀行から引き出せず生活困窮!?
高齢化とともに認知症患者数も増えており、80歳を越えると有病率が24・4%、85歳を越えると55・5%に。
「認知症状ばかりに目が行きがちですが、お金の面でもかなり深刻な問題が出てきます」
まず、銀行の預金が下ろせなくなる可能性が。
「ATMなどで暗証番号が思い出せず、自分で引き出せなくなることがあります。そして窓口に問い合わせをした場合、行員と簡単な受け答えができないと、払い出しを断られることがあるんです」
生活費はおろか、施設に入るための預金も引き出せない……なんてことが起きる。また不動産を売って老後資金にしようと考えていた場合も、
「認知症になると法律上“意思無能力者”となるので、不動産売却も不可能に。いつかやろうと思っていた贈与や遺言といった相続対策もできなくなり、遺産をめぐるトラブルが起きることも多いんです」