GP帯(午後7時~同10時)で放送される7月期の民放連続ドラマは計12本ある。うち、最年長の主演俳優は唐沢寿明(58)。『ボイスII 110緊急指令室』(日本テレビ、10日スタート、土曜午後10時)に登場する。
役柄は2019年に放送されたこのドラマの前作と同じく、凄腕刑事。110番通報を受ける緊急司令室に置かれた捜査チームの班長である。
唐沢はアラ還だから最年長も不思議ではないが、若々しいので、意外に思われた方もいるのではないか。演じる刑事も現場を走り回る。
年齢を感じさせない少年ぽさ
早いもので唐沢が第一線の役者に躍り出てから29年になる。飛躍作となったのは最終回で世帯視聴率32・6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録したフジテレビ『愛という名のもとに』(1992年)。主演した鈴木保奈美(54)の相手役を演じた。29歳のときだった。
以来、TBS系『輝け隣太郎』(1995年)、フジテレビ系『白い巨塔』(2003年)、同『不毛地帯』(2009年)、TBS系『ルーズヴェルト・ゲーム』(2014年)、テレビ朝日系『24 JAPAN』(2020年)などの話題作や注目作に主演してきた。
17歳からの下積み生活が長かったものの、世に出たあとは順調の一語。スランプもブランクもない。ここまで成功した役者も滅多にいない。トレンディドラマの主演俳優らが助演にまわったり、画面から遠ざかったりするのが珍しくないのはご存じの通りだ。
唐沢の魅力は何かというと、まず持ち前の爽やかさだろう。年齢を感じさせない少年のような明るさも見る側を引き付ける。
もちろん演技もうまい。医者をやろうが、刑事を演じようが、違和感を抱かせない。また、口跡(役者のセリフの言いぶり)がいいので、早口のシーンも聞き取りやすい。
唐沢本人はずっと第一線で活躍し続けている理由について、こう語っている。
「変な欲もないし、誰かの上に立ちたいとも思ってないからじゃないかな。もちろん、オファーが来た役を誰よりもうまく演じてやろうという欲はあるけど、誰かの足を引っ張ってでも役が欲しいかと言われたら、そんなことまでして欲しくない。そんなみっともないこと好きじゃないよ」(『婦人公論』12月8日号)
ガツガツしていない。だから、爽やかなところも少年のような面も変わらないのだろう。俳優は内面が表に必ず出る。極端な例になるが、薬物に手を出すような俳優は逮捕前から外見が崩れてしまう。