症状は人によってこんなに違う

若林:発症後、「食べ物の味はする?」とよく聞かれたのですが、私は発症してから回復するまでずっと、味覚と嗅覚は通常どおりでした。

大沖:私も、発症日からしばらくはいつもどおり。発症してから6日たったころに鼻がツンとして、その2日後くらい、ホテル療養中に支給された昼食のカレーを食べたときに、ほとんどにおいが感じられないことに気づきました。さらに、その日の夕食は完全ににおいがしませんでした。「塩辛い」とか「甘い」とかはわかったので味覚はあるはずなのですが、においの強い食事は味もほとんど感じられなくて、療養が解除された後も症状が続きました。

若林:今は治りましたか?

大沖:はい。鼻がツンとしたのは1週間くらいで治りました。嗅覚異常が治ったのは、コロナ発症から1か月たったころですね。6月初旬に自宅でカレーパンを食べたら、すごくにおいがしてほっとしました。今は、ほぼ回復しています。

若林:長い間、においが感じられないのはつらかったですよね……。私の場合、症状がいちばんひどかったのは、発症の翌日でした。朝に激しい咳で飛び起きて熱を測ると38.8℃。すぐに発熱センターと病院に電話して受診、PCR検査を受けたんですが、夜に体調が悪化し、関節痛と嘔吐がひどくて何も食べられない状態でした。発熱も続いていたので、救急外来のある近隣の病院4つに電話をかけたのですが、「高熱の患者は受け入れられない」もしくは「ベッドの空きがない」と言われて行けませんでした

大沖:陽性だとわかったのはその次の日ですか?

若林:はい、翌朝です。前日のPCR検査の結果が出る前に、医師の判断で抗原検査を受け、すぐに陽性だと判明しました。その日は3月16日で、東京都の新規感染者数が300人ちょうどだったのを覚えています。大沖さんが発症した5月上旬は、感染者数が再び増えていた時期ですよね。発症後はスムーズに受診できましたか?

大沖:発症翌日は土曜で、仮眠をとっても関節痛が治らなくて。土曜の夜は病院も閉まっているし発熱もなかったので寝て、日曜、まだ関節が痛かったので発熱センターに電話すると「高熱がないなら月曜日に受診を」と勧められました。

若林:「もしかして」という気持ちはありましたか?

大沖:はい。ネットなどで調べて、熱がなくても陽性の人がいることを知ったので、知人に「食事を買って玄関先に置いてほしい」とお願いしました

若林:同じくです。私は近所に住む妹に頼みました。ただ、陽性だとわかってからは早かったです。診断を受けた3時間後には保健所から電話があり、30分ほど話して病院入院が決定。翌日から入院しました