あの厚労省が動いた
社会は優生思想を絶対に許してはいけない。それはなぜか。
優生思想は我々が暮らす社会の基盤を崩すからだ。「あいつは生きていていいが、こいつはダメだ」という身勝手な線引きは、この社会で暮らすすべての人の安心を奪う。ある日突然、誰かが自分の好き嫌いだけを理由に「おまえは生きなくてヨシ!」と指を指されることを想像してほしい。そんなことが許されていいはずがない。
だから、社会がこの危険な発言には大きなNOを突きつけなくてはいけないのだ。
ヘイトクライムや差別に敏感な国であれば、影響力のある有名人のヘイト扇動発言に対しては、首相や大統領レベルが自ら発言をし、差別を許さないという姿勢を見せ、国民にも強い牽制をするだろう。
しかし、残念ながらこの国では差別に関しての認識と意識は何周も遅れを取っているため、まず期待はできない。と、思っていたら今回は国が動き、正直、驚いた。
DaiGo氏の投稿が炎上した翌日の13日、厚生労働省がツイートを更新した。
「生活保護の申請は国民の権利です」
ホームページのコピペという省エネ投稿ながら、絶妙なタイミングが国民への強いメッセージとなり、DaiGo氏への牽制の役割も担って、2.9万 リツイート、4万いいねという低燃費ながらすこぶる大きな反響を残した。
生活困窮者支援団体による緊急声明
厚労省に一日遅れの14日、生活困窮者支援に取り組む4団体が共同で緊急声明文を出した(メンタリストDaiGo氏のYouTubeにおけるヘイト発言を受けた緊急声明)。
声明文の内容要約 (4団体の声明文を要約すると以下のとおり)
1 形だけの反省・謝罪にとどまらず、自分の発言内容の重大さをきわめて危険な反社会的行為であることを認識し、真摯に自己と向き合い、反省した上で撤回、謝罪すること。
2 菅首相からも、DaiGo氏の発言が許されないものであることを明言したうえで、生活保護の申請が国民の権利であることを率先して市民に呼び掛けること。
3 厚生労働省も、公式サイトで生活保護制度の案内を大きく取り上げる等、制度利用を促す発信に力を入れること。福祉事務所が追い返しなどしないように、周知徹底をはかること。
4 マスメディアは、DaiGo氏の起用を差し控え、その発言の問題点を報道し、このような発言を許さない姿勢を明確にすること。
5 私たち市民は、今回のDaiGo氏の発言を含め、今後ともこのような発言は許されないことを共に確認し、これを許さない姿勢を示し続けること。
これを前後して、DaiGo氏を広告に起用していた会社のひとつが彼を降ろした。日ごろからホームレス支援活動を応援している会社だったので当たり前すぎる対応である。メンタリストがこの展開を読めなかったのは残念だ。
DaiGo氏は13日に謝罪動画をYouTube投稿し、14日には「昨日の謝罪コメントを撤回します」という釣りタイトルのような動画を相次いでアップしたが、そこで分かったのは、「この人、なんにもわかってない」ということだった。