フジテレビが「お笑いと音楽」にした狙い
『ラフ&ミュージック』で世代交代は図られたのか、番組の印象についてお笑い評論家のラリー遠田氏に話を聞いた。
「たしかに世代交代感はすごい強かったです。BIG3も年齢を重ねていますからね。BIG3世代の芸人を支持しているのは40代以上、ど真ん中だったのは50~60代とかですから、コアのターゲットからは外れています。今のテレビ局としてはもうちょっと下を狙いたい。
『ラフ&ミュージック』では一番上が松本さんで、そこから下の世代の芸人がごっそり出演していました。千鳥や霜降り明星といった今一番旬の芸人をメインに、その上に松本さんがいるという座組です。そこに“お笑い番組と音楽番組を組み合わせよう”という発想で、豪華出演者を共演させて盛り上がるという、いい意味でフジテレビっぽい番組になりました」
そのような豪華出演者をそろえた特番ができるのは、民放だと音楽番組だけになっているという。
「各局、音楽番組は6時間や8時間など、大型化しています。音楽番組はコア層に刺さるキャスティングができますからね。その音楽番組とお笑いを組み合わせたのがフジテレビ的発想です。そしてあれだけの豪華出演者をキャスティングできるのはフジテレビだけ。芸人やアーティストとの関係性があってこそ実現したメンバーですよね」(ラリー氏、以下同)
『27時間テレビ』がない現状、『ラフ&ミュージック』はフジテレビを象徴する特番となった。
「音楽とお笑いの融合という新しいパッケージでやったのも、40代から下の若者をガッチリつかむため。今が旬の芸人は当然押さえていたわけですが、松本さん、中居さん、ナイナイの共演というのもすごい。松本さんとナイナイが共演するだけでも視聴者は“おっ!”となります。もちろん、松本さんと内村さんの共演も盛り上がる。
ただ、それがど真ん中に刺さるのは30~40代です。コア層でも上の世代にも目くばせしつつ、今が旬の若い芸人やアーティストに出演してもらい10~20代に訴求している。つまり、“コア層の全部取り”を狙ったのではないでしょうか。コア層を取り込む豪華メンバーをしっかり押さえているわけです」