ただ、もっとまずかったのは、クビになってからの言動だ。YouTuberとして一応の成果を上げているものの、彼の持ちギャグといえば、チャンネル名にもなっている「宮迫ですッ!」という自己紹介くらい。そこを補うべく、知り合いの吉本芸人を出演させたりしてきた。

 吉本としては面白いはずがない。いっそ、オリエンタルラジオの中田敦彦のように、テレビとは訣別してYouTube一本で活動するなら、ここまで睨まれずにすんだのではないか。

 そう、このあたりが宮迫の煮え切らなさだ。テレビが恋しいあまり、YouTubeを復帰までの腰掛けにしたいという思惑すら見て取れた。

 しかも、厄介なことにけっこう自信家でもある。昨秋にはニュースサイトのインタビューで「僕のようにテレビに30年も出してもらっていて、YouTubeもやっているという人間は少ない」として、

お互いのいいところをつなぐような懸け橋になりたいです

 と、発言。ただ、大谷翔平あたりが日米の野球界の懸け橋になりたいというならともかく、こういうのは両方で成功してから言ってほしいものである。

 それでも、さすがに自分の立場がわかってきたのか、26日には「やっぱり、僕ができるのはYouTubeという場所しかない」と表明。そこから、別の芸能人のこんな名言を思い出した。

「今、目の前にあることを頑張れないやつが何を頑張れるんだ」

 嵐が大ブレイクする前の時期に、メンバー間で路線変更案が出た際、大野智が語った言葉だ。とはいえ、宮迫の場合、気づくのが遅すぎたかもしれない。

PROFILE●宝泉薫(ほうせん・かおる)●作家・芸能評論家。テレビ、映画、ダイエットなどをテーマに執筆。近著に『平成の死』(ベストセラーズ)、『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『あのアイドルがなぜヌードに』(文藝春秋)などがある。