そこで“白羽の矢”が立ったのが『プペル』というわけだが、背景に演出を担当する「八世・藤間勘十郎」の存在があるとも。日本舞踊の“五大流派”の一つに数えられる藤間流宗家は市川家と関わりが深く、海老蔵の姉で「三代目市川ぼたん」こと市川翠扇(すいせん)も師事し、舞踊の教えを受けている。
「現家元の“八世”は、舞踊家とは別に歌舞伎の振り付けや演出、脚本まで手がけたりと、これがまあ多才。他にもフランス・オペラ座での歌舞伎公演や音楽劇『ハムレット』を演出したかと思えば、はたまた歌舞伎とボーカロイドの初音ミクをコラボさせたりと、アイデアも豊富で型にとらわれない異才ぶり。
海老蔵と年が近く、信頼も厚い勘十郎くんの提案とも考えられますね。勘十郎くんは(三代目・尾上)菊之丞くんとオンラインサロンなんてのも始めているみたいだし、そこで歌舞伎化すれば面白くなりそうな作品の情報も集めているのでは?」(前出・芸能ライター)
実は勘十郎らがサロンを立ち上げた2か月後、2020年9月に海老蔵もまた『オンラインカルチャースクールZEN』を立ち上げている。歌舞伎を中心とした日本の伝統芸能、伝統文化を学ぶ場と称した、実質はオンラインサロンだ。
「オンラインサロン」の共通点
広告代理店営業マンは「何やらビジネスの匂いがしますね」と苦笑いする。
「会員数は明らかにしていませんが、月額1万5000円の海老蔵さんのサロンにどれだけの人数が入会しているのか。ブログに始まり、ツイッターやインスタグラム、YouTubeチャンネルとネットビジネスに熱心なご様子ですから、もしかしたら“プペル”を通じて“プロ経営者”の西野さんからサロンのノウハウを教えてもらっているのかも」
確かに、今なお会員数5万人を超える国内最大級のオンラインサロンを展開する西野。その手法に賛否はあれども、ネットビジネスにおいて“結果”は残している。
それだけに、海老蔵と西野による“プペル歌舞伎”の実現にはこんな見方も。
歌舞伎座で上演中の『十月大歌舞伎』の「1等席」が1万5000円であるのに対し、プペルは「SS席」が30000円、次の「S1席」が20000円とかなり高額に設定されているのだが……。
「おそらくは歌舞伎ファンの新規開拓と同時に、西野さんやプペルのファンの来場も見込んでいるようにも見えます。映画の際にはリピーターとして、何回も映画館に足を運んだ(プペった)サロンメンバーもいるそうですし、彼らは高額なチケット代も惜しまずに見に来ることでしょう。
吉本興業を退社して露出が減った西野さんにしても、こうしてプペルが話題になれば双方にウィンウィンの関係が成り立つ。これもまたビジネス、ということで」(前出・広告代理店営業マン)
海老蔵と西野、案外気が合うのかもしれない。