身体の重みがひざに集まる最悪の姿勢
変形性膝関節症は長い時間をかけて、少しずつ悪化する病気。今、ひざ痛がない人も、軟骨がすり減っている可能性は大いにある。
「最初はひざの動きに違和感を覚え、40~50代あたりから痛みが出始めるのが、変形性膝関節症の典型的なパターン。そのまま放っておくと、ひざ関節が硬くなり、曲げ伸ばしができなくなります。歩行が困難になると、寝たきりになるリスクも高まるので、痛みが出始めた段階で対処して、進行を食い止めましょう」
そのためには、変形性膝関節症の発症や悪化の要因となる、次の2点に気をつけたい。
「1点目は姿勢。背中や腰を丸めた悪い姿勢で立つと、バランスをとるためにひざが曲がります。すると、ひざの骨の一部に体重が集中。その部分の軟骨がすり減っていきます」
2点目は運動不足。
「ひざを動かさなくなると、ひざを支える太ももの筋肉の機能が低下。筋肉のバランスも崩れるので、軟骨組織にかかる力に偏りが出て、損傷を招きやすくなります。また、関節内は潤滑油の働きをする関節液で満たされていますが、動かずにいると、この関節液の循環も悪くなります」
ひざがすでに痛い人は、ひざをかばって姿勢が悪くなりがち。運動も難しい。「そこで、おすすめしたいのが『1分ひざトレ』。ひざの痛みは、関節内で骨がぶつかったりひっかかったりすることで発生します。1分ひざトレは、そんな狭まった関節を広げて、可動域を正常に戻すことで、痛みを改善するメソッドです」
酒井先生のクリニックで、ひざ痛の患者さんにこの1分ひざトレを実践してもらったところ、なんと99%の人に効果が見られたという。
「ひざ痛は自分で治すことができます。痛みがやわらいだら、正しい姿勢やウォーキングなどの運動を心がけて、ひざの健康を守りましょう」
まずはひざの状態をチェック!
自分に当てはまる項目にチェックを。チェックが5個以下なら、ひざの機能が徐々に低下中。6~11個なら、ひざの可動域がかなり狭まっている可能性あり。痛みがあるなら炎症のおそれも。12個以上なら、ひざのクッション機能が大きく低下。放置すると歩行困難になるかも!?
□荷物を同じ側の手で持ったり、肩にかけたりする
□足を組む癖がある
□ひざを曲げるような動作のときは「ポキッ」、
伸ばすときは「パキッ」という音が鳴る
□痛くはないけれど、ひざが伸びにくくなった
□階段の上り下りで、下りがつらくなった
□正座をするのがつらい、あるいはできない
□靴底の外側がすり減っている
□じっとしていてもひざが痛い
□首痛や腰痛がある
□ひざの真裏にシワができやすい
□高齢女性である
□O脚が進んだように感じる
□デスクワークでひざを曲げている時間が長い
□立ち上がるときにひざが痛い
□階段では手すりがないと怖くて歩けない
□ひざが腫れたり、熱を帯びたりすることがある