若い女性の整形ニーズを高めている要因として、インスタグラム、TwitterなどのSNSの普及が大きい。「流行っている施術だから有名人もカミングアウトするというのもあり、どちらが先かはわかりませんが」と前置きしながら、インフルエンサーの影響もあるのではと磯野医師は推察する。
「2019年に、女優の有村架純さんのお姉さんでタレントの有村藍里さんが骨切りという輪郭矯正を告白して話題になりましたが、昔に比べるとエラや下顎、頬骨を削る輪郭の整形は格段に増えました。骨を削ってまでという人はそんなにいませんでしたが、気軽に相談に来るようになりました」
骨を削る大掛かりな手術ではダウンタイムも長期間必要になる。
「骨切りは見た目の腫れは2週間くらい続きます。エラ削りの場合は歯医者で麻酔したときのような痺れが続きますが、月単位で徐々に治っていきます」(磯野医師)
将来的には別のリスクもあると入谷医師。
「骨切りをした方の中には、噛み合わせに問題が出てくるケースや、顎を短くすることで皮膚が余って、フェイスラインのたるみが出てくるケースもあります。アフターケアを慎重に行っていくことが必要でしょう」
希望の施術にはどのようなリスクや副作用があるかを知っておくことは、整形をする上で重要だ。
SNSやネットの口コミは鵜呑みにしないで
最新の美容情報を知りたい場合、SNSで整形系の発信をするアカウントをフォローすれば、人気の施術やビフォーアフター、口コミが洪水のように流れ出てくる。カウンセリング時に、医師にインスタの画像を見せてこういうふうになりたいと相談する女性も多いという。ただ、SNSに出ている整形のビフォーアフター写真は鵜呑みにしないほうがいいと入谷医師は話す。
「何人かインスタグラマーと呼ばれる方の施術に入らせてもらったときに驚いたのですが、撮影中のスマホに写っている顔と実際の顔が全くの別人だったんです。アプリのフィルターでとても可愛く加工されていて……。そういうこともありますので、SNSは信じすぎないことも大切です」
クリニック側が出すビフォーアフター写真は同じ条件で撮影しなければいけないというルールがあるが、患者側がインスタグラムなどSNSで発信する写真は加工し放題。ネットの口コミに関しても、「いい部分もありますが、書きたい放題がまかり通っているなと感じます。例えば医師側は正当な理由があって“その施術はできない”と断りを入れたのに、そこが抜け落ちてしまって “できると聞いていたのにできない!”と不満を書き込む患者さんも」(入谷医師)とのことなので、あまりあてにしないほうが賢明だ。
整形した回数と費用を聞くと、最も多かったのは1回(76.0%)で、費用は5万〜50万円(52.7%)という結果だった。これは二重の施術が人気であることと関係があるのではと入谷医師は言う。
「費用は本当に人それぞれ。二重整形は一度やるとメンテナンスもさほど必要なく、やり直すケースはあまりないので、1回と答えた人が多いのかもしれません」