その後、デキ婚からの離婚を経て、カメラマンと再婚。プライベートでも四六時中、写真を撮られているという。その一部は写真集にもなった。2歳からの芸歴を思えば、彼女は歴史上最も多く写真に撮られている人間なのではないか。そりゃ、時間軸だってゆがんだりするだろう。
マツコの分析に納得
そんな安達について最近、マツコ・デラックスがこんな分析をしている。
「いろんな経験をしてきてもなんでか残る少女的なところだったりというのが、いい意味で気持ち悪いんだと思う。世の中の人が引っかかるっていうのは違和感だから」(『マツコ会議』日本テレビ系)
これに対し、本人は「あー、すごいうれしい」と反応。性別不詳と年齢不詳同士、通じ合うものがあるようだ。
3年前には、ヤフーニュースの取材で彼女はこんな発言をしていた。
「最新の安達祐実は、もう“(同情するなら)金をくれ!”なんて言ってないよ!って感じで(笑)」
自分のイメージをアップデートしてくれない世間に対し、笑えるようにもなったわけだ。自らの特殊さを持ち味にできているのが、ここ数年の彼女の強みといえる。
しかも、芸能人にどんどん普通が求められるようになってきている今、彼女の特殊な魅力はますます際立つことになる。
ただ、それは自分だけの時間軸をさまよい続けることだから、孤独でもある。その孤独を理解できる人は、20年後の芦田愛菜くらいだろうか。
PROFILE●宝泉 薫(ほうせん・かおる)●作家・芸能評論家。テレビ、映画、ダイエットなどをテーマに執筆。近著に『平成の死』(ベストセラーズ)、『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『あのアイドルがなぜヌードに』(文藝春秋)などがある。