明けない夜はない70代はシンプルに
ハードな宝塚時代、苦しい闘病生活を経た境地は前向きだ。
「13年間の宝塚でつらかったことはいい思い出に変換しちゃっています。
鬼みたいに厳しい振付師がいて殺意を感じたこともありましたけど(笑)、私だけでなくみんなが大変な思いをして指導を受けた。それが今になってみると自分の宝物になっています。もしあのときに脱落していたら今はなかったと思います。
生きていればいろんなことにぶち当たります。嫌なことも最悪なことも起きると思います。でもそれを乗り越えると人間を形成する栄養になって蓄積されていく。
私の年齢になると嫌な人とは付き合わない、嫌なことは避けて通ることができるようになります。でもそれまではいろんな経験を積んで乗り越えていくことが人間的な厚みをつくるには必要なことだと思います。
明けない夜はないので、乗り越えた先に光が見えてくるからあきらめないで前を向いていってほしいと思います。
私自身、死んだほうがましと思ったことは何度もありましたが、いま生きながらえていられるのは神様のおぼしめしだと思えるようになり、生きていてよかったと思います。乗り越えられた自分に頭なでなでしてあげたいです」
70代からはシンプルをモットーにし、個人事務所を立ち上げインスタなど新たな挑戦も。
「SNSは始めたら面白くて一気に世界が広がりました。ファンクラブには若い方が増えてうれしく、ありがたいです。
この先の生きている時間を考えたとき、くよくよ落ち込む時間はもったいないので、自分が満足して人生を終えられるためにはどう生きていったらいいかを常に考えています」
人生の先輩が体現した金言です。
●プライベートでは宝塚退団後に結婚
「身体がちょっと弱っていたときにプロポーズをされて、そういう人がいると安心かなと思い、保険に入るような感じで結婚しました。1年半ぐらいで終わりましたが、仕事との両立が難しかったことが原因のひとつです。それ以降、結婚を考えたことは一切ないですよ」
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(撮影/佐山裕子)