不妊治療への理解が定着しない日本
西川 男性の場合は、老化とともに造精機能も衰えて精子の質も落ちますが、何歳になってもつくることはできます。でも、女性は持って生まれた卵子を毎月排出し、減っていくだけです。また、卵子は女性の実年齢と同じで、老化していきます。
小松 そういったことも教えてもらっていないですからね……。
西川 でも今はだんだん啓発が進んできたので、ブライダルチェックなどを一緒に受けて、人生のどのあたりで子どもを持ちたい、と計画を立てられるご夫婦が増えてきましたね。
小松 検査を受けて、問題を発見できるチャンスができたことは、私からするとうらやましいです。もし自分も検査を受けていたら、不妊治療のやり方も変わっていたかもと思います。
西川 そうですね。結婚前のお付き合いしていた時期に、いろいろとできたと思いますよ。治療を始めたときは、どんな方法でトライされていました?
小松 排卵時期を狙って性交するタイミング法から始めて、その後、自然周期での体外受精でした。
西川 タイミング法はご自分で希望して?
小松 いえ、診ていただいた医師から提案されました。42歳でタイミング法は遅いですよね(笑)。
西川 来られる患者さんの中には“タイミング法で”とおっしゃる人もいるんですよ。ですから、小松さんもそれを望んだのかなと。
小松 勉強した今なら言えますけど、40代でタイミング法なんて言ってる場合じゃないですよ! 私は声を大にして言いたい(笑)。
西川 そういうことがわからない人はたくさんいらっしゃいます。そんなに知識のある人ばかりではありませんから。
小松 今は40歳前後でも昔に比べて肉体的には若いけど、生殖器的にはそこまで変わらないので、勘違いしている部分がすごくありますよね……。
西川 日本の性教育というもののあり方も含めて、それは産婦人科の責任でもあると思います。
小松 国や企業も、もっと考えてほしいなと思います。私たちの時代は、バブル世代の少し後で、男性と同じように女性も働け、産むより働けというのが当たり前になっていた時期で……。働かないと職を失うという環境の中、働いてきた世代だと思うんです。
西川 企業がもっと支援しないと、不妊治療と仕事の両立は進んでいかないでしょうね。