そして、第9位に入った『親バカ青春白書』(日本テレビ系'20年)の小比賀太郎に扮したムロツヨシは、娘のことが好きすぎて、同じ大学に通い始めてしまう父親を熱演。
しかし、さすがにコメディーとはいえ、バカすぎるという理由から「イヤな父親」でも票を伸ばす形に。
「娘を大好きなことが行動にあふれ出しているところ」(秋田県48歳 専業主婦)
という意見がある一方で、
「いつも一緒にいようとすることは、完全にストーカー。キモいです」(茨城県57歳 会社員)
とバッサリ。吉田さんも、「確かに気持ち悪い」と前置きしたうえで、
「『親バカ青春白書』はやりすぎだけど、今の父親や母親と子どもたちって、とても仲よく距離感が近いですよね。そういう意味では、令和の父親像っぽいともとらえられる」
と評価が分かれる背景を分析する。
「頑固親父」から「寄り添う父」へ
ドラマキャラ 理想の父親ランキング11~20位
第11位『とんび』 市川安男(堤真一・内野聖陽) 54票
第12位『ルパンの娘』 三雲尊(渡部篤郎) 43票
第13位『おとうさん』 進藤士郎(田村正和さん) 39票
第14位『オヤジぃ。』 神崎完一(田村正和さん) 34票
第15位『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』 稲葉博太郎(大杉漣さん) 32票
第16位『リコカツ』 水口武史(佐野史郎・平田満) 31票
第17位『パパは年中苦労する』 巽耕作(田村正和さん) 28票
第18位『アイムホーム』 家路久(木村拓哉) 26票
第18位『24 JAPAN』 獅堂現馬(唐沢寿明) 26票
第20位『モコミ ~彼女ちょっとヘンだけど~』 清水伸寛(田辺誠一) 23票
(票は複数回答)
あらためて印象的な父親が登場するドラマを振り返ると、昭和の父親=ホームドラマ、平成以降の父親=ヒューマンドラマの傾向が強いことが見えてくる。
とりわけ時代が下るにつれホームドラマが少なくなるが、吉田さんは、「家族が集まって肩を組んだりケンカしたりするホームドラマは、個の時代である現代ではリアリティーに欠ける」と語る。
「能楽師の家庭に育ちながらも、プロレスラーになった『俺の家の話』(TBS系'21年)のようにトリッキーな設定でもない限り、家族を描くことは難しいと思います。ひとつ屋根の下にいてもLINEで会話するような時代ですからね(笑)。
また、会社で働いて、家に帰ってきてダラダラしているような“何もしない父親”は、女性たちからしてもご遠慮くださいという時代。
『極主夫道』(読売テレビ・日本テレビ系'20年)がウケたのは、見た目こそ怖いけど、家事が完璧だから。前時代的な父親像は拒否反応も強いのでは」(吉田さん)
あえて昭和の親父を見せる『おいハンサム!!』──。令和の時代に、どう昭和の父親を融和させるのか? 見ものだろう。
<取材・文/我妻アヅ子>