あの『サラダ記念日』の衝撃から35年。昨年は歌壇の最高峰である迢空賞を受賞した俵万智。彼女も今年、還暦を迎える美女の1人だ。授賞式には沖縄の染め物ドレスで登場。黒髪のショートボブに大きな瞳でほほ笑む姿はデビュー当時とまったく変わらぬ“万智ちゃん”のまま。高校を卒業する息子をもつ還暦間近の女性だとは信じがたい。
東日本大震災直後、仙台を離れて石垣島に移住した際には大きなバッシングを受けた。その心境を《子を連れて 西へ西へと逃げてゆく 愚かな母と 言うならば言え》と詠んだ。石垣島の大自然に抱かれ、シングルマザーとして充実した日々を送った俵。石垣島の強烈な太陽は肌へのダメージも大きいのでは?
雑誌のインタビューでは“海藻をとったり、洞窟探検をしたりと野生の生活を送っていても、日焼けもシミもなし”と答えていた俵。その秘訣は、コウジ酸だ。コウジ酸とは酒造りの杜氏の手が美しいことから開発された、麹をもとにした発酵代謝物で美白の有効成分。30代半ば、こめかみにシミができたのをきっかけに《もう20年間、歯を磨く感覚でコウジ酸美容を続けて》いるハマりぶりだ。
「10年ほど前、『デルメッド』というコウジ酸のコスメブランドのイベントに俵さんが来場していました。当時、40代後半でしたが、肌年齢は20代くらいに見えましたね」(美容ライター)
恋は歌人に歌を詠ませてくれる
しかし、アラ還の美少女歌人の若さを保つ秘訣はそれだけではない!?
「ズバリ、恋心でしょう。俵さんが若山牧水について語ったエッセイがあるのですが、短歌は基本的に、心が揺れるときに生まれるものだと書いています。俵さんの場合、それは恋だと。恋は歌人に歌を詠ませてくれるものだとはっきり言っています」
とは、俵の出版に携わった関係者の言葉。そして“恋”のほかに“出産”もまた女を美しくする要因の1つだ。
《優等生と呼ばれて長き年月をかっとばしたき一球がくる》と『チョコレート革命』で詠った俵が、未婚の母として人工授精での出産を決意したのは40歳のとき。優等生と呼ばれた長い年月をかっとばす一球がこの出産だったのだろう。《バンザイの 姿勢で眠りいる吾子よ そうだバンザイ 生まれてバンザイ》の歌には、子どもを産んだよろこびがあふれている。
産後は両親のいる仙台に転居。その後は子育てに最適な環境を求めて引っ越しを続けた。長男が中学生のとき、宮崎県に移住。昨年末、出版した『花と短歌でめぐる 二十四節気 花のこよみ』の夏至のページには、紫陽花の花の写真の横に《恋の始まりは見慣れた景色を変えてくれる》と書き出されたエッセイがある。
母となった今も恋が彼女に短歌を詠ませ、その若さの理由になっているのは間違いないだろう。