「11時55分ごろ、うちの女性従業員が、小谷さんの家から女性の大きな声を聞いたそうです。気になって工場の窓から小谷さんの玄関先を見ると、女性らしき人が倒れていた。車のドアが開いたままになっていたのか、それを知らせるピーピーという音が鳴り響いていたようです。それで、女性従業員が男性従業員2人を連れて、小谷さん宅に駆けつけた」(工場長)

 到着すると、娘が小谷さんに心臓マッサージを施している最中だったという。

「警察から応急処置を指示されたんでしょうね。そのとき、小谷さんの口からは血が流れていたと言っていました……」(同・工場長)

被害者宅の玄関前には今も大量の血痕が生々しく残っている
被害者宅の玄関前には今も大量の血痕が生々しく残っている
【写真】被害者宅の玄関前に、今も生々しく残っている大量の血痕

離婚を巡るトラブルがあったのか

 もう1人の住民も“ある声”を聞いていた。

「全部は聞き取れなかったのですが“離婚”という言葉だけははっきりとわかりました。ただ小谷さんの声だったか、娘さんだったのかまではわかりません」

事件の背景に、離婚を巡るなんらかのトラブルがあったと考えられる。“そういえば……”と同住民は続ける。

「事件が起きる数日前から娘さんは子どもを連れて実家に来ていました。小谷さんがその子を抱いていたのを見たので、よく覚えています。でも、娘さんはいつも車で帰省するのに、駐車場に車がなかったから珍しいと思っていました」

 だが、事件のときは娘の車が、小谷さん宅の駐車場に停まっていたとも。

「おそらく娘婿さんが乗ってきたんでしょうね。その車は警察がレッカー車で持っていきました」(同・住民)

 実家に逃げた妻を追いかけていた容疑者。そこで、小谷さんと口論になり、犯行に及んだということか。小谷さん宅の玄関前には今も大量の血の跡が残っており、事件の凄惨さを物語っている。いかなる理由があったとしても、殺人は断じて許されない。