「“高くてもアーミーなら買うだろう”という足元を見られている感覚がありますね」とは前出のファン。
「正直、コラボ商品の量の多さにも最近ちょっと疲弊気味。BT21(ビーティートゥエンティーワン。メンバー発案のイラストキャラクター)とTinyTAN(タイニータン。メンバーをモチーフにしたキャラクター)の企業コラボ商品が毎月、何種類も登場するんです。見るとほしくなる→コンプリートしようとしたら家庭崩壊→物欲を押し殺す、の無限ループがストレス過ぎて、最近は積極的に情報収集しないようにしています(苦笑)」
事務所は「BTS 依存」状態
基本的にタレントの稼働なくとも収益が得られるグッズは、芸能事務所にとって利益幅の大きい商売。韓国のアイドル業界では、東方神起、SHINee、EXO、NCT127などを有するSMエンタテインメントがいち早く自社タレントのグッズ販売を強化。2015年にはソウルの一等地にある商業施設内にグッズ販売ショップを開業し、お菓子からアパレルまで、さまざまなグッズをリリースしていた(※ショップは20年5月に閉店)。
「それと比べてもBTSの所属事務所HYBEのグッズ販売戦略はレベルが違う」と語るのは前出のライター。
「HYBEのトップでBTSの生みの親でもあるパン・シヒョク氏が目指しているのは、単なる芸能事務所ではなく、コンテンツ制作から配信、流通まで、すべてを狙うグローバルプラットフォーム企業。グッズ販売も自社で開発したファンコミュニティーアプリのウィバースで行い、世界各国のファンがオンラインで購入できる仕組みを構築しています」
その一方ではこんな問題も。
「BTS関連の事業が会社の売上高の9割近くを占める状態のため、HYBEは“BTS依存”とも言われています。後輩グループも順調に育ってきていますが、依然BTSの人気は圧倒的。
今、韓国国内ではBTSの兵役免除について議論が交わされていますが、兵役で活動休止となれば、空白期間の収益を確保するため、彼らの関連グッズがこれまで以上に大量リリースされることは必至でしょう」(前出のライター)
HYBEは現在、メタバース(ネット上の仮想空間)やNFT(非代替性トークン)といった最新技術を用いた新サービスも開発中で、デジタルフォトカードといったまったく新しいグッズが近い将来販売されるというのがもっぱらの噂。
アーミーの懐が寂しい状況は今後も続きそうだ。