「番組内で年収の情報源は提示されていませんでしたが、職業別の年収を紹介しているあるサイトではラノベ作家の平均収入が6070万円から8085万円と紹介されていました。おそらく、これを参考にしたのでしょう」(前出・出版関係者)
このサイトの算出方法はかなりアバウトで……。
編集者とのやりとりだけで3〜4か月
「ラノベの中でも特に売れた作品の総発行部数と書籍価格に、印税率10%を掛けて算出しているようです。100万部を超えるような作品を根拠に平均年収と言ってしまうのはちょっと乱暴だと思います」(同・出版関係者)
実情を知るため、20年近いキャリアを持つラノベ作家のAさんに話を聞いた。
「ここ数年の刊行ペースは年2〜3冊で、年収は700万円ぐらい。刊行物の印税や過去のヒット作の電子書籍印税が主な内訳ですね」
やはり、ラノベ作家を続けるのはラクではないようだ。
「私と同じ時期にデビューした方で残っているのは、片手で数えられるくらい。書いている途中で大幅な改稿を要求されることもあります。何でも好きなように書けるわけではありません」
新人作家はもっと厳しい。20代半ばでデビューして作家歴2年目のBさんは、実家で親と同居しながら専業作家として活動している。
「去年は2冊出して、年収はだいたい200万円ほど。そのうち電子の印税は30万円でした。実家暮らしだからなんとか続けられていますね」
1冊の本にするには400字詰め原稿用紙にして130枚程度が必要。Bさんの場合は執筆に約1か月を要するというが、書き始めるには“編集会議”を通さなければならない。
「執筆する前にキャラやストーリーをまとめた“プロット”を作り、担当編集者と打ち合わせをしますが新人作家はなかなか企画が通りません。編集者とのやりとりだけでも3〜4か月かかります」
小説だけでは生活できず、ほかの仕事との兼業で作家をしている人も多い。Cさんは事務職の契約社員を続けながらラノベを書いている。