アイドルとして、そして女優としても人気者となった小泉今日子。そんな彼女も今年でデビュー40周年。ここでは彼女と同時期に活躍していた杉浦幸が、「女優・小泉今日子」の魅力を語る。
'80年代アイドルの過密スケジュール
'82年3月21日に『私の16才』で歌手デビューした小泉。同時に映像作品にも進出。女優としての人気を獲得したのは、フジテレビ系で放送された月曜ドラマランド『あんみつ姫』だった。
一気にトップアイドルに上り詰めた小泉の初主演の連続ドラマは、大映テレビ制作の
'85年放送『少女に何が起ったか』。紙のピアノで練習するシーンは語り草になっている。
「'80年代のアイドルは、みなさんハードだったと思います。ドラマをやっていると、特に拘束時間が長くて。撮影終わりの夜中0時からレコーディングとかもありました」
小泉と同時代にドラマで活躍していた杉浦幸が振り返る。
'85年放送スタートの大映ドラマ『ヤヌスの鏡』(フジテレビ系)で、いきなり主演に抜擢された。
「毎日1、2時間の睡眠だから、いつも眠くて、ちょいちょい記憶喪失になるんですよ(笑)。いま思い出そうとしても、そんなことあったっけ? という覚えてないことも多い。目の前の仕事をこなすだけで精いっぱいでした」
当時は、女性ファンが多い男性アイドルとドラマや歌番組で共演するだけで“攻撃の対象”になることも。
「けっこうメンタルやられるんですよ。'86年の『このこ誰の子』という大映ドラマで、ジャニーズ事務所の岡本健一くんと共演しているだけで、カミソリやゴキブリの死骸が入った手紙が届いて。特に仲がいいというわけでもないし、現場ではまったくしゃべっていなかったのに」
小泉と杉浦は学年で4つ違い。小泉はオーディション番組『スター誕生!』で芸能界入り。杉浦は雑誌『Momoco』素人コーナーに出演したことで読者による人気投票1位になって、芸能界に足を踏み入れた。'80年代という同時期に芸能界を駆け抜けてきたが、杉浦にとって小泉は“尊敬の対象”だという。
「小泉さんもドラマも歌もやられていたから、大変なスケジュールだったでしょうね。誰もが経験できるわけではないハードな毎日でしたが、小泉さんのような尊敬できる存在は、私にとって“気持ちの盾”になっていました」
小泉とは、ドラマや映画での共演はなかった。
「レコーディングスタジオでバッタリお会いしたり、共通の知人がいるので、プライベートでご一緒させていただくことはあります」
芸能界で活躍する先輩の中には、そのときどきの機嫌で杉浦に接してくる人もいたが、小泉にはそういうところがなかったという。
「私は物おじしないタイプなんですが、小泉さんの前だといまだに緊張しちゃって、直立不動になり、口がきけなくなるんです。プライベートな場所でお会いしても、小泉さんらしさを崩さないというか、うそがないんですよね」
人に元気を与えて、影響力もあると、力説する。
「年の重ね方もカッコいいですよね。私も枠にとらわれず、“小泉先輩”みたいに、いろんなことをやっていきたいと思います」
杉浦幸
'69年4月5日生まれ。東京都出身。雑誌『Momoco』でスカウトされ、'85年『ヤヌスの鏡』(フジテレビ系)で主演デビュー。毎週月曜夜9時からインターネットラジオの『幸&むらさーの月曜から乾杯』に出演中